蚕舞かいこまい

蚕の繭に似せた踊りを楽しませてくれる蚕舞

【撮影場所】

鹿児島県熊毛郡南種子町上中上野

【撮影日時】

2018年1月15日(月)/18時03分〜20時23分

【行事場所】

南種子町上中上野

【行事時期】

毎年一月十五日、午後五時三十分より

【アクセス方法】

西之表港から国道58号線経由で約1時間。種子島空港から約35分。

【踊りの説明】

南種子町上中上野地域に小正月行事として伝承されている「蚕舞｣です。毎年一月十五日に各家を巡回して行われています。蚕舞は、本来、養蚕が盛んだった時代に、蚕の豊作を祝う行事でしたが、現在は、家内安全・繁栄、無病息災などを祝う行事として、種子島では南種子町で伝承されている行事です。

蚕舞は読んで字の如く、蚕に似せた踊りで、青年男子が着物姿で女装して各家庭を回り、扇子を持って優雅な舞いを披露します。白頭巾の顔の中心部は蚕の口に似せてあります。そして、踊り子のほかに太鼓、入鼓、鉦などの鳴り物もいます。

上野地域の蚕舞は、青年団が中心となり二班に別れ実施しています。午後五時までに公民館に集まり、班ごと回る家庭を確認したり、踊り子は女装を行います。そして、六時になると、いよいよ公民館での蚕舞の打ち込みを行います。それが終わると、班毎に分散して民家を巡回します。

写真一枚目は、民家での蚕舞です。ご主人は、正座して静かに蚕舞を見ています。上野地域の蚕舞は、歌と同時に蚕舞が始まります。途中、団子(だご〜切り餅を枝にさしたもの)を持っての踊りはありません。鳴り物は、玄関先で蚕舞を歌います。太鼓や鉦でリズミカルな調子で、あまり高低差はなく歌っていきます。真冬の静かな夜に鳴り物が響きわたります。大変リズミカルな調子で蚕舞の優雅な踊りを楽しめます。なお、前年に不幸のあった民家には巡回しません。

各家に着くと、まず、玄関を開け、「お祝い申そう」と言って、鳴り物を叩き始め蚕舞が始まります。蚕舞が終わると、祝物をいただきます。焼酎、ご祝儀などです。また、ビールや焼酎なども差し出されることもあります。

各家での蚕舞が終わると、すべて終了です。再び公民館に戻り、全員で蚕舞を踊り、全てが終了します。そして、宴会を行います。

	蚕舞の鳴り物です。公民館での最後の蚕舞です。全員で叩き合います。
	写真は、民家での蚕舞です。踊り子は、今回初めての蚕舞デビューでした。一週間練習したと話していました。
	写真は、民家での蚕舞です。家の人は、正座して静かに蚕舞を見入っていました。踊り終わると、「上手に踊ってくれてありがとう」などと話しかけることもあります。
	蚕舞の踊りが終わると、玄関先で家主が食べ物や飲み物などを振舞ってくれます。踊り終えた踊り子は、ストローを使って飲んだりします。
	写真は、スナック「Etarnal」での蚕舞です。ママさんとホステスお二人も蚕舞を楽しみました。
	こちらは、広島お好み焼き「安兵衛」での蚕舞です。踊りが終わると、お客様から大きな拍手が送られました。
	蚕舞の最後は、公民館で全員による踊りです。これが終わると、蚕舞もすべて終了します。
	踊り終わると、宴会が始まります。焼酎やビールを飲みながら、今年の発展や繁栄などを語り合います。

　蚕舞

お祝い申そう

これから申す　門から申す
これのご家は裕福なご家と見かけ申すが
九十九界のこのみやじょうまわします先に　綾をはえ　錦をひろめて
これから思えば東の峠のあさいらいの　こかげの　ケンケン鳥のめんどりの
右のおごり羽根　左の風切　おっとり合せて
ひと羽がいですくえば　千まいすくう
二羽がいですくえば　二千まいすくう
三千枚の子だねを寄せ集めて　えとくとふまえて　はるごになるときゃ
ハイライライと申す　ツンダゴになるときゃ
つんとつんと申す　虫におきるときゃ
甘桑もきらわず　露桑もきらわず　ながめになるときゃ　ハイのまいを召すが
はるごまは夢に見てさえ　ものゆきものと聞きえ申すが
りゅうのこまかよ　ヤッサだんだん　まゆにまわせて
その　まゆの固さは　天川原の　小石よりも　まだまだ固い　このみやじょう
祝いに祝うおて　おじゃるどうからあかがせ給えよ
おばばじょうさま　娘じょうまで
ちょうどお祝い　お米やれ

追記〜ご丁寧に対応していただいた上野公民館の皆様、今回お世話になりました。皆様の益々のご活躍を期待しています。

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