向井橋〜カシミヤ橋

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種子島宇宙センター増田宇宙通信所  前回の散策から、早一年一ヵ月を経過しています。種子島一周まで、あと残り僅かとなっていますが、足踏み状態が続いています。先週から会社の同僚には、「日曜日が晴れたらやるからな」と言っていましたので、その気持ちだけは持っていました。

 平成21年5月31日、予報によれば、晴天ということで決行です。今回の散策は、中種子町増田の県道75号線に架かっている向井橋から西之表市安城大野のカシミヤ橋までの約13キロの区間です。散策の特徴は、上り坂、下り坂の繰り返し、そして、道幅の狭い道路となっています。また、海岸の景色は絶品ですが、文化財の少ない区間でもあります。

 向井橋を出発したのが、午前7時53分です。今日は晴れてはいるが、何といっても北西の風がやや強いことです。したがって、かぶっている帽子が、何度となく飛ばされてしまうことが予想できます。向井橋を出ると、すぐに急な左カーブになっており、ここからず〜っと上り坂が続きます。右には人家があり、その入口にペットボトルの風車が勢いよく回っています。しばらく進むと、左に法華宗の清浄寺があります。種子島は、各地域に法華宗の寺が多いのも特徴があります。寺の前の道路は、増田仲之町に通じており、広域農道に出ます。また県道76号線にも連絡されています。道沿いには、シロノセンダングサが多数咲き誇っています。このシロノセンダングサあまり生えてほしくない草花でもあります。

 清浄寺を少し過ぎた右の道沿いにナデシコが少し群れて咲いています。濃いピンク色が素敵な花です。新緑の頃も過ぎており、薄黄色の花を咲かせているのはマテバシイです。その下を通ると、独特の花粉の匂いというか、花の匂いというか、自然の匂いがします。現在、歩いている道は県道75号線です。別名「西之表南種子線」といわれています。戸畑地域に着くまでは、上り坂のカーブありです。雑木林をみると、テイカカズラが花をつけ垂れ下がっており、きれいな光景もあります。このテイカカズラ、なかなか風情があっていいものです。

 坂の途中に、向井海岸を一望できる場所があります。そこは、民有地で勝手に入ることが出来ないように入口にロープを張っています。付近の道沿いには、花壇もあり季節の花を植えています。そして、腰掛もありひと休みできる場所になっています。ここ周辺は、ロケット打ち上げのときに展望できる場所にもなっており、「ロケット打ち上げは、ここで見よう!」というコーナーでも紹介しています。

 道沿いには、竹林もありニガダケも生えています。今が旬で、タケンコかぎが多くなっています。中には、道路わきにも生えていますが、こういうのはあまり美味しくありません。竹林の中で採ったものでないとニガダケも楽しめませんね。道沿いも注意してみると、いろいろな雑草が生えているのが分かります。珍しい軒草も結構生えています。右カーブの途中から南西側を見ると、太陽の里の風力発電所も遠くに見えています。付近には、ゲットウも花を咲かせてくれています。ホルトノキ、タブノキ、ハゼノキなど雑木林を形成する主な樹木が観察できます。ヤブジラミ、ツユクサ、タマシダなど多数のシダ類も生えています。もちろん、ツワブキも。

 何だかんだと言いながら、気づくと坂道も終わりに近づいてきました。相変わらず道沿いには、シロノセンダングサが無数に生えています。坂道が終わったことで、急に風が正面から吹き抜けてきました。帽子も深くかぶらないと飛ばされてしまいます。右を見れば、種子島宇宙センター増田宇宙通信所の大きなパラボラアンテナが南を向いているのが分かります。その先の右急カーブの左に入って海岸を見ると、眺めもなかなかです。

 右急カーブを曲がり終えると、左に茶色の煙突が見えてきます。「戸畑の煙突」です。増田海軍飛行場跡の記念物です。もちろん文化財に指定されており、このホームページでも紹介しています。詳しいことについてはそちらをご覧ください。少し先へ行くと、右にグランドがあり、その入口付近に開拓記念碑もあります。もちろん、記念碑も紹介しています。そこを過ぎると、急な左カーブになっており、また坂を上る途中は右の急カーブで、車の運転は要注意場所です。カーブを曲がり終えると、平坦な畑が一面にあります。増田海軍飛行場跡だったところです。その畑の一角に記念碑も建立されており、ホームページでも紹介しています。その前は直線道路になっており、途中右に種子島宇宙センター増田宇宙通信所があります。今日5月31日は、一年に一回、施設の公開日になっており、午前9時から午後4時まで見学や体験学習などに参加できるのです。水ロケットを製作したり、実際に作った水ロケットを飛ばしたりも出来ます。島内の子供たちを対象に行っています。

 増田宇宙通信所前の道路は、ほぼ直線になっています。ここから中種子市街地までは9キロ、犬城海岸まで3.5キロの地点です。通信所入口からおよそ200メートル上ると、右へ海岸に通じる道があります。通信所の境界を東に進むと、海岸を展望できる大塩屋海岸に出ます。そこから見事な太平洋や遠くに見える種子島宇宙センター、そして、沖合いにある洞穴の岩屋などを展望できる場所になっています。一度は行ってみる価値がある海岸です。なお、通信所前は、広大な平坦地になっており、サトウキビやからいもを作っている畑になっています。また、山手を見るとコスモリゾートいわさきゴルフ場が遠くに見えています。

大塩屋海岸展望  直線道路を過ぎると、左カーブです。しばらく進むと三叉路になっており、右へは大塩屋地域です。侵食された海岸線がとても美しいところです。時折吹く強い風により、道沿いの電線が大きな唸りを上げています。風のざわめき、草々の揺れる音、自然が奏でる協奏曲でしょうか。そこに野鳥の鳴き声が混ざると自然の生命を感じられます。風のせいで、竹がきしむ音、波打つ姿、陸上も時化た状態になっています。道沿いには竹林もあり、小さなニガダケも道沿いまで生えています。その中にノアサガオの綺麗なブルーが素敵!!ナワシロイチゴが立派に真っ赤な果実をつけています。竹林があるので、防風になっています。

 右カーブを過ぎると、農業倉庫、その前に別荘が2棟あります。立ち入り禁止のロープを張っているので、人はいない様子です。その道沿いには、シンノーヤシが植えられています。その中にあって、ハマヒサカキ、フヨウの花木も見受けられます。そこを過ぎれば竹林です。しばらく進むと、左にゴルフ場への裏入口があり、ここからゴルフ場がよく見えています。日曜日とあって、大勢のゴルファーでにぎわっています。この付近から東側を展望すると、太平洋を一望できる大パノラマが楽しめます。太平洋も素晴らしいのですが、大塩屋海岸の様子が印象に残ります。逆光になっており、条件は悪いのですが。何せ、パルプとして間伐していますので、以前に比べて見通しがよくなっています。

 付近を過ぎると待望の下り坂!!少し行くと、犬城海岸馬立の岩屋入口の標識があります。ここから海岸までは約2キロです。ここまで来ると雑木林は、主にスダジイが目立ってきます。しかし、海岸に近いとあって樹高はそれほど高くはありません。両サイドには、キンケイギクもまだ立派に咲いています。左は山手になっており、しだいに風も遮られ、帽子も飛ばされる心配もなくなってきました。松の立ち枯れが多いのに気づきます。もちろん、下り坂になっており、足も快適に動いています。崖の下をあちこち覗いてみると、無造作に捨てられたゴミが散乱しています。特に見えない場所では多く見かけます。「ここへゴミを捨てないで」という看板も設置されています。道沿いには、テリハノイバラ、ヤブジラミ、フヨウの木が多く見かけます。曲がりくねった道で、カーブミラーも設置されています。この付近で何となく時計を見ると、ちょうど9時30分。

犬城海岸馬立の岩屋入口  今の時期になると、何といっても海岸付近ではゲットウの花が一番です。道沿いにたくさん咲いてくれており、気持ちよくさせてくれています。散策は花を見て歩くのが一番です。土手付近に一面咲いている様子は素敵ですね。やはり自然の移り変わりを楽しむには十分すぎます。フヨウをよく見ると、ノアサガオが絡み付いています。太陽の光を受けてその薄いブルーが何ともいえません。ノアサガオは特に午前中は、紫色に染まっており、元気いっぱいのしるしです。まばらにヒメジオンも白い花で初夏を飾ってきました。あまり感心しない草花ですが、海岸付近では何もないことも多いので、ヒメジオンの白い花を見ると、少しは彩ってくれてはいるとも感じます。もう、アカメガシワも茶色に染まった花序になっているし、季節はしだいに変わりつつあることを告げてくれます。しかし、クズのものすごい繁殖!!

 付近の雑木林の特徴は、樹高の低いことです。海岸付近の厳しい環境を物語っています。その結果が低い樹高になっているのです。風の音とともに、ホトトギス、ヒヨドリ、カラス、コジュケの鳴き声など耳に入ってきます。午前中は、植物も動物も活動が活発なのですね。その結果が鳴き声になっているのでしょう。「県道75号 西之表南種子線 中種子犬城」の標識を少し過ぎると、右に海岸へ通じる道があります。細い道で、特に車で行く場合には草木で、傷つける恐れもあるので、注意してください。海岸に出ると、大変美しい景色を楽しめる場所です。また、釣りもできる場所です。道沿いではヤマモモの木も多く生えていますが、ほとんど雄木で果実を付けていません。九割以上は、雄木です。残念だな〜。付近は上りになったり、下りになったりを繰り返しています。ハゼノキ、イヌビワなどが主で、特に珍しい樹木はありません。そして、ゲットウもほとんど見られなくなっています。山手からは、時化た山鳴りが聞こえてきます。竹林を見るとタケンコかぎの小さな道もあります。散策すると色々な小さなことにも気づくから不思議です。

 だんだん海岸に近づくにつれ、ヤマモモの木が多くなってきます。トベラを見ると緑の果実をたくさん付けているし、ネズミモチも白い花を付けているし、海岸付近はいろいろな表情を持っています。そして、山手では、ヒヨドリがうるさいくらいに鳴きさえずりまわっており、住処にではないかと思うくらいです。長い下り坂が終わった地点になると、右に海岸へ通じる道があります。海岸に出ると、侵食された岩屋などから化石などを採取できる場所になっています。ここから少し上り坂になっており、しばらく行くと、右に海岸が広がってきます。確かに海岸を見ると、円弧を描いていることが分かります。したがって、地球が丸いことを意味します。なるほど。ここで少し休憩することに。

 しばらく進むと、犬城川です。西之表市と中種子町との境界です。架かっている橋は、犬城橋で昭和40年1月に竣工されています。犬城川については、「せせらぎを求めて」のコーナーで詳しく紹介しています。そちらもご覧ください。犬城海岸は、サーフィンが楽しめる場所になっており、サーフィン通がやってきます。太平洋の力強い波乗りができる場所です。ビギナーには、少々危険もある海岸です。ご注意ください。ここを過ぎると小さな上下差はありますが、ず〜っと上り坂になっています。海岸近くに小さな水田もあります。しばらく上ると下りになっており、犬城、野木海岸の豪快な海鳴りが素晴らしいです。遠くには2隻の船も見えています。そのまま進むと野木川です。その野木川を過ぎると上り坂です。右へは海岸に出られます。付近の道沿いには、立派なゲットウが花を咲かせています。付近の道路沿いで、唯一の展望場所があります。そこから眺める景色は雄大です。気持ちがすっきりします。展望付近を過ぎたのが、10時25分です。

立山漁港展望  そのまま上ると、浅畑川です。この川のせせらぎも紹介していますので、「せせらぎを求めて」のコーナーもどうぞ。この付近を過ぎると、両サイドの雑木林も変化が見られます。しだいに樹木の樹高も高くなってきます。特にハマヒサカキが多数自生している場所でもあります。時折野鳥の鳴き声も聞こえてきます。左には畑もあります。右側には、海岸へ降りる道もあります。しばらく行くと、野木〜空港線の道が左にあります。種子島宇宙センター野木レーダーにも通じています。野鳥の中でもホトトギスの鳴き声はいつ聞いても風情があります。マテバシイの下を通過すると、開花した花の匂いが漂っており、花粉の匂いがたまりません。

 付近には、右道路沿いに畑があります。しかし、テリハノイバラの花が満開を迎え本当に素敵です!!畑を過ぎる頃からやっと下り坂になってきます。前方遠くには、安城大野の携帯電話の無線基地局が見えています。終点まであとわずかです。また、コオニユリがまばらに花を咲かせており、夏の雰囲気も感じられます。これからこの花が道沿いの主役になってきます。ハマヒサカキもいいね。見栄えが素晴らしいです。少し進むと、風が正面から強く吹いてきます。今までは、山手に遮られていたのですが、北風をまともに受けてきました。北風のおかげで、晴れているにもかかわらず、ほんとうに涼しい思いをしています。

 畑を過ぎたところから、道沿いの雑木林に変化が見えてきます。それは樹木の樹高が高くなってくることです。海岸を少し離れると、豊かな雑木林になっているんですね。道沿いには、たくさんのハマサルトリイバラも生えています。これより、少し急な下り坂になってきます。やがて、左カーブ付近で、立山漁港を一望できる場所があります。長閑な雰囲気が素敵です。ここまで来ると、風が真正面から吹き抜けていきます。この気持ちのよさは、空気を吸っているんだという実感が湧いてくるような気分です。風の音の中に、払い機の勇ましいうなり声が聞こえてきます。早稲田川付近にある水田の管理作業を3人でやっています。また、水田近くには、ダンドクが少し群れて花を咲かせています。しかし、付近も休耕田が多いのに気づきます。

 現在通過している道路は、緩やかに大きく円弧を描くようになっており、水田付近の早稲田川に早稲田橋が架かっています。ここを過ぎるとず〜っと上り坂が続きます。その橋を渡ってまもなく、左の竹林から「バリッ、バリッ、バリッ」という物音がはっきり聞こえてきます。そうです。竹林でタケンコかぎを行っているのです。足音から推測すると、2人でかいでいます。道沿いに車を止めており、中で子供が二人待っています。後ろにはかいだタケンコも積んでいるのが確認できます。付近の山手には、杉の立ち枯れが多くみられます。「台風でやられたのか!」と思いながら歩いていると、足元にヤマモモが相当落下しています。ふと上を見てみると、「わぁ〜、すごい!ヤマモモ」とつい声が出てしまい、カメラで写すことに。しかし、すごいねぇ〜。道沿いでこれほどのヤマモモを見れて満足です。

カシミヤ橋 ここを過ぎると、右にカシミヤ号漂着地入口の看板が設置されています。カシミヤ号については、各地の記念碑で詳しく紹介しています。そちらをご覧ください。そこを過ぎると、立山漁港入口付近です。やっと上り坂も終わりです。その交差点付近に、「カシミヤ号漂着地入口」の標柱があり、「市制三十周年記念」で設置されています。すぐ先は、立山小学校入口の交差点です。この地点で、時計を見ると11時37分です。ここから安城小学校まで6.2キロです。

 立山を過ぎ、S字カーブの上り坂を上がりきると、「御牧」です。左にあるバス停付近まで上り坂になっています。バス停付近に交差点があり、左は植松を御経由し万波へ通じ、県道76号線へ接続されています。御牧公民館を過ぎると、左に「尾呂ノ平」のふるさと歴史散歩の案内板が設置されています。それによると、尾呂ノ平とは、「尾呂は、牧の馬を集めるオロの意味であろう。馬追いが終わると馬の群れをオロに追い込む。直径10メートルの円形の土手で囲み、一方を口を開ける。隣接して3メートルほどの同じ構造の囲いを作り囲っていた」とある。なお、御牧の由来は、この地に種子島の殿様の牧場があったことで名付けられています。しばらく進むと三叉路です。

 終点まであとわずかです。三叉路の左へは、植松そして万波に通じ、さらに県道76号線に通じています。ここは芦野です。三叉路を過ぎると、左に芦野のバス停があります。付近はほぼ直線道路になっており、それが終わるとカシミヤ橋です。付近の道沿いには、ハイビスカスを植樹しています。カシミヤ橋には、風速計が設置されており、9メートルを表示しています。かなり強い風が吹いています。カシミヤ橋は大川田川に架かっている橋で長さも200メートル以上あり、種子島で一番長い橋です。高さも50メートルくらいあります。強い風を真正面から受けながら散策も終わりになってきました。

※散策日:平成21年5月31日(日)、晴、7:53〜12:10 

向井橋〜カシミヤ橋の地図向井町」中種子町増田〜向井橋をスタート

向井町」増田
↓←写真1・2枚目
秋佐野」増田

野木」西之表市
↓←写真3枚目
立山」立山

御牧」立山

芦野」立山
↓←写真4枚目
大野」安城

カシミヤ橋〜終点