ヤートセー本踊り〜伝七口説

哀愁に満ち溢れた踊りのヤートセー

ヤートセー
【撮影場所】
鹿児島県熊毛郡南種子町平山小学校
【撮影日時】
2013年10月6日(日)/12時53分〜13時08分
【奉納場所】
南種子町平山神社
【奉納時期】
毎年十月旧暦九月九日
【アクセス方法】
南種子市街地から県道586号線を経由し、約15分でこの地に着きます。

【踊りの説明】

平成25年度南種子町平山神社の秋季大祭で踊られた西之町に伝承するヤートセー(伝七口説)です。種子島の全域に存在する郷土芸能の代表的なものです。各地にあるヤートセーですが、色々な形に変化に違いがあります。西之町のヤートセーの特徴は、小さな山車があることです。この前後で、男女によりパフォーマンスの踊りがあることです。また、黒を基調とした虚無僧もいます。ほかの地域にない独特のものです。

ヤートセーなどの踊りは、一般的に口説踊りと呼び、種子島の各地に存在しており、中踊りに属しています。各地域によって、服装や踊り方が少しずつ違っています。ここのヤートセーの特徴は、鳴り物が男性、踊り子が全て女性だけで踊ることです。ヤートセーがしとやかな雰囲気の中で踊られることです。

ヤートセーは、一般的に本踊りと崩しの部分から構成されていますが、本踊りのみとなっています。踊りの隊形は一重円の隊列で、始終反時計方向に前進しながら踊っていきます。太鼓二人、鉦二人、入鼓二人、そして踊り子が十六人で合計二十二人で披露してくれました。

踊り子全員合唱しながら進行していき、「ヤートセー」の掛け声が随所に出てきて盛り上がっていきます。写真一枚目は、「ヤートセー」の歌が出て、前進を一時止め、体形を外側を向き、軽くやさしく両手を合わせ、そのとき両足の膝を少し曲げて体形を少し低くした仕草で、ヤートセーの持つ魅力ある踊りの中で、哀愁に満ち溢れる瞬間の場面です。この仕草は、歌詞のヤートセーのところばかりではなく、頻繁に出てきます。

ヤートセーの出端 写真二枚目は、ヤートセーの出端です。掛け声とともに、鳴り物、踊り子が入場します。
ヤートセーの出端 写真三枚目は、ヤートセーの出端で、センスを持った踊り子です。平山美人の踊り子さんたちですよ。
ヤートセーの本踊り 写真四枚目は、ヤートセーの本踊りです。反時計方向に移動しながらの踊りです。移動距離はそう多くはありません。
ヤートセーの鳴り物 写真五枚目は、ヤートセーの鳴り物です。太鼓の後方の入鼓です。素朴な音色が特徴です。
山車の後方の棒を持った踊り子 写真六枚目は、山車の後方の棒を持った踊り子です。棒踊りです。
山車の前方にいる女性の踊り子 写真七枚目は、山車の前方にいる女性の踊り子です。センスを持っており、紐を引っかけて、山車を引くような踊りを見せるのです。
ヤートセーの引端 写真八枚目は、ヤートセーの本踊りが終わり、退場する場面です。引端も大事なしめくくりの踊りです。
 ヤートセー(伝七口説)

出端

長者殿の親方様に お前にやる槍薙刀でお供の衆は五百人
草葉もなびけどお立ちやるお立ちやる

本唄

さてやさてさてさてそのうちは こんど大阪田辺の町に ヤーアートセー
よろす金屋に武兵衛と云うて 武兵衛娘にその名はおつね ヤーアートセー
年は十六つぼみし花よ 京や大阪絵書きもあれど ヤーアートセー
おつね姿は絵に出しゃならぬ おつね姿を絵に書くならば ヤーアートセー
立てば芍薬座ればぼたん 歩む姿は野百合の花よ ヤーアートセー
それにおよんで恋めす人は 同じ並びの呉服屋殿の ヤーアートセー
一人息子の伝七殿よ 年は十八おんさす花よ ヤーアートセー
文も度々三十夜六度 やれど送れど色ない返事 ヤーアートセー
もうこれから忍ぼうと思うて 忍びその夜の伊達装束は ヤーアートセー
下にゃ羽二重その上はどんす 帯は流行の博多の帯よ ヤーアートセー
三重に回してきちそと結び いんろう巾着小脇にさげて ヤーアートセー
伊達の脇差おとしにさして 足にゃ白足袋八つ尾の雪下駄 ヤーアートセー
深いあみ笠ごんぶとかぶり うららしゃららと裏道ヨ回る ヤーアートセー
裏をまわりてぬるべを超えて 忍びかかれば襖がしまる ヤーアートセー
下女を頼んで襖を開けて 障子一重にしゃなりをきけば ヤーアートセー
そこに立ったはだがじゅん様か 別状あるまい呉服屋殿よ ヤーアートセー
一人息子の伝七殿よ 及びない子に召さりょうよりも ヤーアートセー
早く帰れよ伝七殿よ そこで伝七涙にむせて ヤーアートセー
涙ながらも口説いて聞かせよ 私しゃ病人そなたは薬 ヤーアートセー
人を助ける菩薩の神よ 沖を走らす大船丸は ヤーアートセー
風にもまれて港をたずぬ 笹にとまれし小鳥を見やれ ヤーアートセー
笹にとまりて一夜を明かす 小野の小町にはやたとえられ ヤーアートセー
小野の小町に在しょ殿は 百夜かよいて一夜の情け ヤーアートセー
わしも今夜で百夜でござる 今夜一夜は落とさにゃならぬ ヤーアートセー
長い口説なら見物人も退屈 此処できりましょ若松様よ ヤーアートセー

引端

螢が螢が花ふみ散らす細足で 大薙刀でさくと切らばや さくと切らばや
やらやら見事 やら見事 やらやら見事 やら見事 
此れのお庭によし植えて 我よし人よし世間なお良し 世間なお良し
やらやら見事 やら見事 やらやら見事 やら見事

※ 2013年10月6日、南種子町平山神社の秋季大祭で、平山西之町集落に伝承するヤートセーを撮影したものです。

なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。

種子島の郷土芸能:南種子町平山西之町集落に伝承するヤートセー

 
2015.7.4〜