納官平鍋地域に伝承されている郷土芸能のヤートセー(おくめ口説)です。一般的にヤートセーは口説踊りと言われています。種子島のほとんどの地域に伝承されている手踊りであります。
おくめ口説は、武士の娘と呉服屋の息子、身分の違う男女の結ばれぬ恋を描いた悲しい物語になっています。平鍋地域のヤートセーは、隣接する星原地域からの伝承されたといわれています。この日、38年ぶりに復活練習を重ね、納官神社の秋季大祭で奉納踊りを迎えました。
ヤートセーは出端、本踊り、崩し、引端から構成されています。出端は太鼓や鉦を鳴らしながら六列縦隊で、歌いながら前進し、その後次第に円形の隊列になっていきます。太鼓四人、鉦二人は円内で、対面しながら本踊りを踊っていきます。「ヤートセー」の歌詞が随所に出てきて、踊りが盛り上がっていきます。
写真は出端の最初の部分です。中種子町のヤートセーの特徴は、この出端の部分にあります。頭が、掛け声を出し、これから踊りが始まるのを告げます。しばらく4列縦隊でゆっくり前進し、その後、踊る円形の隊列になっていきます。各地域で出端もいろいろあります。
出端です。唄い出すと、鳴り物、踊子も前進します。踊子は、右手に日の丸のセンスを持っています。 | |
外周は、踊り子、円内は、鳴り物が水平に対面しています。随所にヤートセーの掛け声が出てきますが、太鼓の動きも特徴があります。外周の踊り子は、始終センスを持っています。ヤートセーは、口説きの違いによって、ずいぶん踊り方に違いが見られます。「ヤートセー」の歌詞が出たときに、内側あるいは外側を向き、左手を垂直に曲げ、そのとき右手を水平に左ひじに添える踊る瞬間は出てきません。他のヤートセーと大きく違う部分です。また、鳴り物の踊り方も特徴があります。 | |
円内の鳴り物の鉦です。鳴り物は二列で、対面しています。太鼓2人、入鼓2人、鉦2人です。外周の踊り子は、反時計方向に移動しながら踊っています。踊り子の前進は、移動距離が少ないことも特徴です。 | |
本踊りが終わると、ヤートセーも終了です。四列縦隊で、少し前進して踊り終えます。 | |
踊りが終わると、舞台前で記念撮影をしました。大変上手に踊ってくれました。皆さんご苦労様でした。 |
出端
サー・・・サー・・・アーヒーヨー アーヒーヨー アーヒーヨー
長者殿の親方様に
お前にやるやりなぎなたに
おともの衆は五百人 草場もなびけどおたちやる ヨー・・・ヨー・・・※繰り返し
本踊り
ひとつやりましょおくめのくどき ア ヨイヨイ
ここはどこよとつたえてきけば ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
ここは大阪道頓堀よ ア ヨイヨイ
そこに川村ごえもん殿よ ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
ひとり娘に名はおくめとて ア ヨイヨイ
年は十六花ならつぼみ ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
花にたとえて申そうやなれば ア ヨイヨイ
春は三月青地の花よ ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
秋はもみじの満才菊よ ア ヨイヨイ
立てばしゃくやくすわればぼたん ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
歩み姿は野ユリの花よ ア ヨイヨイ
肌は玉子の身肌のごとく ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
京や大坂絵描きはあれど ア ヨイヨイ
おくめ姿は絵にゃ書きゃならぬ ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
同じ変わらぬ下町通り ア ヨイヨイ
町の三番目のご服屋殿よ ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
二男息子に名は定七よ ア ヨイヨイ
年は二十四で男のさかり ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
ものもようかくさんそろばんよ ア ヨイヨイ
何につけてもぬけまがなかよ ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
頃は六月八日の晩に ア ヨイヨイ
やくしまいりにおくめをみそめ ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
みそめ相そめふかしきごえん ア ヨイヨイ
あんなおくめに恋せぬものは ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
家に戻りて食座について ア ヨイヨイ
すずりひきよせすみすりながす ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
すみはじゃこおの色よきすみよ ア ヨイヨイ
紙ははやりのちくごの紙よ ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
筆ははやりのしんない筆よ ア ヨイヨイ
書きも書いたよ二ひろ二尺 ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
あいますきまに小唄を書いて ア ヨイヨイ
書いてたたんでおくめに送る ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
おくめ手にとり聞いて見れば ア ヨイヨイ
文の書きよは面白けれど ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
町と武士とのこいじはできぬ ア ヨイヨイ
丸木舟かよ文かえされた ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
長いくどきなら見物人もたいくつ ア ヨイヨイ
ここで切りましょくどきの中を ヤートセー ヤートセー ア ヨイヨイ
引端
サー・・・サー・・・アーヒーヨー
アーヒーヨー アーヒーヨー
上は山々上は山 上のお寺に笛がなる
あいちょろちょろと笛がなる ヨーハイヨーハイ
※ 2023年(令和5年)11月18日(土)、種子島の中種子町納官神社秋季大祭で、38年ぶりに復活された平邊集落に伝承するヤートセー「おくめ口説」を平鍋地区公民館による納官小学校体育館での踊りを紹介しています。この動画に中には、38年ぶりの復活踊りの踊り子の意気込み、ヤートセーの出端、本踊り、引端、記念撮影、踊った後の踊り子の感想などを収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。
【種子島の郷土芸能:ヤートセー 納官神社秋季大祭での38年ぶりの復活踊り 平鍋地区公民館】