花踊は、口碑によると約六〇〇年前、都からの落人が種子島の北端浦田の小浜に上陸し、この寺之門地域に定住して、都の思い出を踊りに託して伝えたと言われています。昭和の初期まで、絶えることなく踊られてきましたが、戦時中から中断していました。
その後、昭和四十一年に三十年ぶりに復活し、公民館活動として踊っていました。昭和五十一年(一九七六年)七月に花踊保存会が結成され、昭和五十五年七月に西之表市の無形民族文化財に指定されています。
花踊は、一口で表現すると、ゆっくりしたテンポの優雅な踊りです。早苗植えの仕草で、花は稲の苗をかたどり独特の型で踊り、女性だけで踊ることも大きな特徴です。服装は、頭に花で飾り付けをしたスゲ笠の踊り子七人、そしてハナ引き一人、太鼓一人、鉦一人の合計十一人で披露してくれました。
花踊は、出端(初むるな・・・)、本踊り(酒田ヨサナー・・・)、引端(京屋大臣・・・)で構成されています。踊り子の服装は、鮮やかな水色の衣装姿に、巾が広い真赤なタスキをかけ、色違いの帯で飾り付けをして白足袋を履いています。そして、花差しが二列に四つ並べて置いてあり、真赤なハイビスカスを差しています。写真一枚目は、本踊りの前半の踊りです。自分の位置はほとんど変わらず定位置での踊りです。
入場は、神社東側から掛け声を出し、花差しまでゆっくり踊りながら出てきます。全体的に踊りはゆっくりしたテンポになっています。本踊りは、自分の位置はほとんど変わらない状態で踊っています。ところどころで掛け声が出てきたり、また、時折ハイビスカスの花を持って踊り、次第に盛り上がってきます。
本踊りが終わると、引端です。自分の位置が反時計回りに変わっていき、テンポや囃子も少し速くなります。水色の艶やかな衣装姿が印象に残ります。しなやかで優雅さがひときわ目立ち和やかな雰囲気のなか哀愁に満ち溢れています。また踊り子さんも大変美人ぞろいです。菅笠で女性だけの奉納踊りを楽しませてくれました。
写真は、出端の終盤の体勢です。本踊りが踊られる隊形になっています。前方には、囃子(鳴り物)三人、唄がいます。 | |
写真は、本踊りのハイビスカスを持っての踊りです。花差しから踊りながら花を右手で取って踊るのです。 | 写真は、唄と鳴り物です。鳴り物は、太鼓と鉦です。唄に合わせて叩いていきます。 |
本踊りが終わり引端の踊りです。反時計方向に少しずつ移動しながら踊っていきます。特に後半は、踊り子のみなさんの調子も聞こえてきます。写真は、花踊50年のベテラン踊り子さんです。所作を見ていると円熟さが分かります。 | |
写真は、引端の踊りです。少しテンポが速くなっており、踊りもリズミカルになっています。これが終わると、花踊りも終了です。 | |
奉納踊りが終わり、感想を聞かせていただいたものです。「今日は、よく出来たと思います。」と話されていました。 |
(アヘイ アヘイ)
初むるな
スゲ笠でお顔をかくし
三十三間の清水寺に
七日こもりて兵武のけいこ
一で手裏剣二で薙刀よ
三で小太刀をスラリとぬいたエー
(一)酒田ヨソナー千代嬢に酒田
千代嬢はなぜ髪はゆはぬ(イヤドッコイ)
(二)櫛もヨソナーナイカヨー櫛も
ナイカヨ 油もないか(イヤドッコイ)
(三)櫛もヨソナーござるよ櫛も
油もてらも手もござる
(ソイジャ ソーラ ソーラ アー サ サ サ ヤーア)
(四)髪もミソナーできたよ 髪も
できたよ島田の髪が(イヤドッコイ)
(五)寝屋のヨソナー行燈寝屋の
行燈だがきて 消やす(イヤドッコイ)
(六)様のヨソナー恋風様の
恋風ソット来て 消やす
(ソイジャ ソーラ ソーラ アー サ サ サ ヤーア)
(アヘイ アヘイ)
京屋大臣五や娘ハラヤーサササ(ヤレ、ヤレ、ヤレ)
七つ時からお伊勢に心ハラヤーサササ(ヤレ、ヤレ、ヤレ)
親に隠れてチョイト抜け参るハラヤーサササ(ヤレ、ヤレ、ヤレ)
親に隠れるなひまくりょ参れハラヤーサササ(ヤレ、ヤレ、ヤレ)
ここは何処かと公家衆に問えば
踊りやーいもの又踊りましょ
これでキリましょやめましょエー
2019年(令和元年)10月27日(日)、西之表市国上寺之門神社の願成就で奉納された花踊を紹介しています。この動画に中には、花踊の出端、本踊り、引端、奉納踊り後踊り子の感想を収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。
【種子島の伝統芸能:花踊 寺之門神社御願成就での奉納踊り2019年】
2018年(平成30年)10月28日(日)、西之表市国上寺之門神社の願成就で奉納された花踊を紹介しています。この動画に中には、花踊の出端、本踊り、引端を収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。
【種子島の郷土芸能:花踊 寺之門神社願成就での奉納踊り2018年】
2014年(平成26年)10月26日、西之表市国上寺之門神社の願成就で奉納された花踊を撮影したものです。この動画に中には、花踊の出端、本踊り、引端、踊り子、鉦、太鼓などの感想も収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。
【種子島の郷土芸能:しなやかさが際立つ花踊寺之門神社秋季大祭での踊り 踊り子・鉦・太鼓の感想付き】
2013年(平成25年)10月27日、西之表市国上寺之門神社の願成就で奉納された花踊を撮影したものです。この動画に中には、花踊の出端、本踊り、引端などを収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。
【種子島の郷土芸能:花踊西之表市国上寺之門神社平成25年秋季大祭での奉納踊り】
2012年(平成24年)10月28日、西之表市国上寺之門神社の願成就で奉納された花踊を撮影したものです。この動画に中には、花踊の出端、本踊り、引端などを収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。