服装は、頭に派手な飾り付けをした笠をかぶった踊り子が十二人、小太鼓と鉦をそれぞれ六人が持っていて、巾が広くて派手な色違いの袈裟姿です。そのほかの踊り子は、ハカマ姿で左腰に刀を差し、丸に十の字の笠をかぶっています。その中には太鼓も十人ほどいます。また、全員黒のたびにワラジをはいています。全体の人数は四十九名で踊りを披露してくれました。
入場から退場まで約二十五分の踊りです。踊りの服装の特徴は、黒が基本色になっています。また、派手な飾り付けの笠など、本当に素敵です。こういう花笠は、種子島の各地域の大踊りで共通しています。衣装も派手さもありますが、何といっても黒の衣装姿ですので荘厳、或いは落ち着きのある雰囲気が出ています。
大踊り「きりのまないた」は、出端、本踊り、引端で構成されています。出端は、「サァーサ」の掛け声で始まり、左側から六列で太鼓や鉦を叩き、また刀を持った踊り子は、掛け声を出し構えながらゆっくりと入場してきます。これを三回繰り返した後、いったん踊りを止め整列し、一礼の挨拶をしてから本踊りを展開していきます。本踊りは基本的に三重円の隊列で踊りを披露していきます。歌の中に「きりのまないた」という言葉も出てきて踊りも盛り上がっていきます。引端は六列になり、入場した場所へ退場していきます。
本踊りは、大変ゆっくりしたリズムで、反時計方向に移動しながら披露していきます。時には、太鼓や鉦の数も多く大変にぎやかで、古式床しき哀愁の中にも凛々しく感じられます。写真一枚目は本踊りです。円の中心部は笠、その外周に太鼓、一番外側は武士です。
ところで、踊りが始まる少し前に、地元の方から話を聞くことができました。「きりのまないた」と言う踊りは、読んで字のごとくということでした。桐のまな板は、高級感に溢れそのまな板を使って奉ると、無病息災、家内安全に寄与するのではないかと思います。この「きりのまないた」は、武士踊り(男踊り)であるが、人手不足により女性も加わっていただいたといいます。
今回、公民館の落成ということで、十八年ぶりに披露する踊りで、大きい行事のときにだけ奉納するということでした。三〇〇年以前から伝わり、長寿を祝う踊りとのこと。
十八年ぶりの踊りということで、私も貴重な踊りを見ることができて感激いたしました。
写真は、出端の踊りです。武士、太鼓、笠、笠、太鼓、武士の六列縦隊で入場していきます。これが終わると、次第に三重円になり、本踊りが始まります。 | |
本踊りが終わると引端です。再び六列縦隊の隊列で、もとの入場位置まで退場して踊りが終了します。 | |
写真は、別棟の倉庫で保管されていた踊り用の花笠です。地域によって、花笠の飾り花が違います。華やかさが素敵ですね。 | |
踊り用の武士がかぶる笠と刀です。笠には、丸に十の字の島津藩の家紋が記されています。元々男子だけの踊りでしたが、少子化に伴い、踊りには女性の武士も加わっていました。 |