毎年一月十一日午後六時から、栖林神社の弓場で直径五尺八寸(175cm)の大的を射て、その年の悪魔災難などを祓い清め、島内の安泰・無病息災を祈願とする古式ゆかしい行事で、大的始式は、鹿児島県の無形文化財に指定されています。
大的始式は、第十二代島主種子島忠時が明応九年(1500年)弓の指南役として招いた武田筑後守光長が、文亀元年(1501年)に宮中の御的始式を伝えたのがその起源とされ、これまで500年以上にわたり受け継がれている行事です。
神社の近くに来ると、奉納旗が立てられており、雰囲気も盛り上がってきます。大的始式は、午後六時から行なわれますが、その前に五時から第二十九代島主種子島時邦氏ほか関係者が集まり神社社殿において神事を行います。
神事が終わると大きな的の前で、お祓いが行われ清めていきます。矢を放つところから二十八メートル先に大的が置いてあり、その間に松明六つが一列三つずつ二列に並べています。北側の壁や大的の後ろには、種子島家の家紋であるミツウロコの陣幕が張られています。そして、師範役が弓場にきて、「本座に着かっしゃれ」との掛け声で大的始式が開始されます。
射手六人は、烏帽子(えぼし)に素襖(すおう)をまとった姿で、弓場に三人づつ左高家、右他家の位置に座っています。最初の射手は、高家(こうけ)の大将弓太郎、他家(たけ)の大将弓次郎です。それぞれ六人は的場を向くように鹿皮の上に座っています。高家、他家の大将から矢を二本ずつ放っていきます。
師範役が「はじめさっしゃっれー」の号令で、高家、他家の大将が射る位置に出てきます。弓場に出てくると、二つの砂山に弓を近づけて、犬の字を描いていきます。これは犬神様を清める仕草です。それが終わると、いよいよ的にめがけて矢を放っていきますが、まず、高家の大将から放ちます。
射手は紐を解き左上半身裸になります。そして前で弓に矢をかけると、大きく後ろにのけぞるような体形になった後、今度は左右に弓を振っていきます。それが終わると的をめがけて「や〜〜〜」という長い送りことば発しながら矢を放ちます。そして、今度は他家の弓次郎が矢を放っていきます。二本づつ放ちますが、二回目の掛け声は、短く「えいっ」と止めことばを発しながら放ちます。
放った矢の矢取役は、八板家、東家の親戚がすることになっております。今年は榕城小5年春田君が行いました。一人三番六射まで続けられ、三十六本の矢で大的を射るが、最後の一本の矢は「満つれば欠くる」の戒めにより、故意に外されます。なお、今回は、一人二番を省略し、すべて的に当たったものとしてカウントし実施されました。
今年で五百二十二年目になる大的始式です。室町時代の様子を再現してくれ幻想の今宵ひとときを感じさせてくれます。写真一枚目は、高家の射手が矢を放つ直前の模様です。
写真は、座っていた位置から立ち上がり、この前方にある砂山に弓を近づけて、犬の字を描いていきます。射手後方には、栖林神社宮司、第二十九代種子島時邦氏が、静かに見守っています。 | |
写真は、他家の弓次郎が、のけ反り返りながら弓をいっぱい引いていくところです。この部分は、見ごたえあるシーンです。大的までの距離は、約二十八メートルです。 | |
師範役が、射手の方は「本座に着かっしゃれ」と号令します。この日、少し風が強く吹いていました。 | |
矢取役が、的に当たった矢を射手に渡します。河野君は、東家の親戚になります。写真は、高家の射手に渡しているところです。 | |
松明を6本燃やしています。かがり火のもと古式ゆかしく時代絵巻が展開されます。 | |
写真は、高家の射手です。矢を放す寸前の状況です。この後、矢を放ち、「や〜〜〜」と長く声を出します。 | |
最後の射手の高家、他家の矢の放ちが終わると、大的から矢を抜きます。最後の1本は、「満つれば欠くる」の戒めにより、故意に外されます。放った矢は、抜き取り矢取役に4本渡されます。そして、射手に矢を渡します。 | |
午後五時から栖林神社で神事が行われました。写真は、神事矢取役による玉ぐしの奉奠です。今年の矢取役は、河野 博聖君です。 動画はこちら⇒【種子島の伝統行事:令和6年栖林神社大的始式神事ダイジェスト】 動画はこちら⇒【大的始式神事 栖林神社 令和5年1月11日〜種子島の伝統行事】 動画はこちら⇒【栖林神社令和4年大的始式神事〜種子島の伝統行事】 動画はこちら⇒【種子島の伝統行事:栖林神社大的始式神事2020(令和2)年ダイジェスト】 動画はこちら⇒【種子島の伝統行事:栖林神社大的始式神事ダイジェスト2019年】 動画はこちら⇒【種子島の伝統行事:栖林神社大的始式神事2018年】 動画はこちら⇒【種子島のふるさと情報:栖林神社大的始式神事ダイジェスト】 |
令和6年大的始式
弓太郎〜日笠山 望
弓次郎〜上之原 誠弥
他家〜山下 慎悟
高家〜谷 純一
高家〜小脇 拓
他家〜小山田 真之輔
師範役〜遠藤 宗美
矢取役〜河野 博聖君
2023年(令和5年)1月11日(水)、西之表市栖林神社弓場で行われた令和4年大的始式の模様を紹介しています。この動画の中には、射手・火付け役、他家弓次郎の意気込みコメント、弓場の清め、師範役による開始ことば、高家、他家の射手による弓矢放ち、矢取役による矢渡し、的に矢が当たる状況などを収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。
【大的始式 直径5尺の大的を射て悪魔災難祓い清め 令和5年1月11日栖林神社〜種子島の伝統行事】
2022年(令和4年)1月11日(火)、西之表市栖林神社弓場で行われた令和4年大的始式の模様を紹介しています。この動画の中には、射手・師範役の意気込みコメント、弓場の清め、師範役による開始ことば、高家、他家の射手による弓矢放ち、矢取役による矢渡し、36矢の的外し、祝儀手渡しなどを収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。
【令和4年大的始式 直径5尺の大的を射て悪魔災難祓い清め〜種子島の伝統行事】
2020年(令和2年)1月11日(土)、種子島の西之表市栖林神社弓場で行われた大的始式の模様を紹介しています。この動画の中には、射手・火付け役の意気込み感想、弓場の清め、師範役による開始ことば、高家、他家の射手による弓矢放ち、矢取役による矢渡し、36矢の的外し射手のコメント、参加者、矢取役の感想などを収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。
【種子島の伝統行事:大的始式直径5尺の大的を射て悪魔災難祓い清め2020年】
2019年(令和元年)1月11日、種子島の西之表市栖林神社弓場で行われた大的始式の模様を紹介しています。この動画の中には、弓場の清め、師範役による開始ことば、高家、他家の射手による弓矢放ち、矢取役による矢渡しなどを収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。
【種子島の伝統行事:大的始式直径5尺の大的を射て悪魔災難払い清め2019年】
2018年(平成30年)1月11日、種子島の西之表市栖林神社で行われた大的始式の模様を紹介しています。この動画の中には、的場の清め、師範役による開始ことば、高家、他家の射手による弓矢放ち、矢取役による矢渡しなどを収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。
【種子島の伝統行事:大的始式直径5尺の大的を射て悪魔災難払い2018年】
2017年(平成29年)1月11日、種子島の西之表市栖林神社で行われた大的始式の模様を紹介しています。この動画の中には、的場の清め、高家、他家の射手による弓矢放ち、矢取役による矢渡しなどを収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。
2016年(平成28年)1月11日、西之表市栖林神社で行われた大的始式を撮影したものです。この動画に中には、高家、他家のそれぞれの射手、矢取役などを収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。
【種子島の伝統行事:栖林神社大的始式2016年ダイジェスト)】
2015年(平成27年)1月11日、西之表市栖林神社で行われた大的始式を撮影したものです。この動画に中には、高家、他家のそれぞれの射手、矢取役などを収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。
【種子島の伝統行事:栖林神社大的始式2015年ダイジェスト)】
2014年(平成26年)1月11日、西之表市栖林神社で行われた大的始式を撮影したものです。この動画に中には、高家、他家のそれぞれの射手、矢取役などを収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。
【種子島の伝統行事:西之表市栖林神社での大的始式2014年)】
2013年(平成25年)1月11日、西之表市栖林神社で行われた大的始式を撮影したものです。この動画に中には、大的始式神事、高家、他家のそれぞれの射手を収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。