中種子町増田向井町地域に伝承されている「町祈祷」です。毎年一月十七日に、午前十時より向井町公民館に集まり、地域の境界及び三差路に立てる魔除けの辻札作り、正午から清浄寺内での祈祷読経、そのあと、関係者によりクズ葛で作った輪を転がして、手作りの弓矢で貫通するまで行われています。
ところで、ハマ行事は「ハマ祈祷」、「町祈祷」とも呼ばれ、種子島の各地域で行われています。地域によっては、「先祖祈祷」とも呼んでいます。悪魔を退治し、地域の繁栄、安泰、無病息災などを祈る行事です。向井町では、弓、矢、辻札、転がす輪などを手分けして自作しています。
出来上がった弓、矢、輪、辻札を清浄寺に持ち込み、仏壇の左に置き、法華宗住職により祈祷されます。関係者は、椅子に座り、住職が唱える読経を静かに聞いています。後半になると、全員、焼香をします。焼香が終わると、清浄寺内での祈祷はすべて終了します。そして、手分けして、祈祷した魔除けの辻札を地域の境界、三差路に設置します。
辻札の設置が終わると、お寺の境内で、輪を転がして弓で貫通させるまで行って地域の繁栄、安泰、無病息災などを祈る破魔の儀を行います。貫通させると、そのわっぱは貫通させた人物がもらうことができます。
写真一枚目は、清浄寺内の仏壇に置かれた辻札です。下の方には、輪も置いています。
県道75号線沿いにある清浄寺です。第11代島主時氏公が第10代島主幡時公の位牌を安置するために建立したことに始まる本源寺末寺で、第14代島主時尭公が永禄年大堂宇を建立し「清浄寺」の号を公称した。 | |
辻札を作る材料です。ニガダケの若い笹、やや細い節を残した棒です。 | |
こちらは、輪を作るクズの茎です。地上に伸びる茎ではなくて、地面を這うように伸びている茎を使っています。 | |
辻札の先端につけるニガダケの若い笹を採取します。辻札は全部で10本作ります。 | |
こちらは、クズ葛で輪を作ります。茎を半分に割って、巧みに編み上げます。 | |
ニガダケで作った弓と矢です。弓は2つ、矢は3本です。 | |
ニガダケの棒に、若い笹をひもで縛り、しっかり固定した辻札をさらに魔除けの文字が記入された札を固定します。 | |
正午から清浄寺内で、法華宗ご住職により読経祈祷が約40分ほどありました。写真は、参加者によるご焼香です。 | |
地域の境界、三差路に魔除けの辻札を設置します。 | |
辻札の設置が終わると、境内参道で、輪を転がし、自作の弓矢で貫通するまで破魔の儀をします。写真は、見事貫通させました。三人貫通させると、破魔の儀は終了です。 |
※ 2023年(令和5年)1月17日(火)、中種子町増田向井町公民館、清浄寺で行われた町祈祷を紹介しています。この動画の中には、辻札作り、弓、矢の作り、クズ葛で輪の製作状況、お寺内での辻札を取り付ける作業、仏壇に辻札、輪を置く状況、法華宗ご住職による読経祈祷、ご焼香、魔除けの辻札の設置状況、貫通させた人物のコメント、集落長の町祈祷コメントなどを収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。
【町祈祷 クズの茎で作った輪を転がしニガダケの弓矢で貫通させる破魔の儀 令和5年増田向井町〜種子島の伝統行事】