平成17年3月19日、昨夜からの強風も収まり穏やかな晴天に恵まれてきました。散策には絶好の天気だったので、国上の湊周辺をリポートすることにしました。西之表市街地から県道581号線を北に向かうこと14キロ20分で喜志鹿崎灯台入り口の看板があるところに到着です。
ちょうど十文字になっているので、左に曲がりさらに北の方角へ進んでいくと、北緯30度49分54秒、東経131度03分42.38秒の地点に灯台が建てられています。性能は、光度十万カンデラ、光達距離21.5海里(約40キロ)となっています。この灯台の沖の海上は黒潮が混ざり合うところで好漁場となっています。昨日とは一変して海上も穏やかになっています。よく見ると8隻の漁船が出て漁をしています。遠くからは何の漁なのか分からないけど・・・。ここから今日の散策が始まるのです。
灯台付近は、ガジュマルやトベラが生い茂っています。灯台の北東側から太平洋を眺めることができます。種子島の最南端付近や遠くに大隈半島も微かではあるが見えています。この灯台の下の海岸線は、磯遊びで大勢の人が訪れるところです。ミナやアナゴを取ることができるので、人気があります。また、少し南側は好釣り場としてあまりにも有名なところです。ここからの眺めは素晴らしいものがあります。灯台の下の海岸線に出てみることにしました。
少し引き返すと三差路になっています。右に曲がり下って行くと、また三差路があるので、それをまた右に行くと海岸に着きます。途中大きな溜まり水になっているところもあります。海岸線は、ごたごたした大きな石があり、砂地はまったく見当たりません。釣り場の写真をとるため、その現場へ向かうことにしました。
灯台からは釣り場まで近くに見えていましたが、実際下りてみると結構離れているように感じられます。風は収まったとはいえ、波はくり返し押し寄せています。海鳴りもうるさいくらい聞こえてきます。しばらくすると、その釣り場に到着です。70メートル前後南に下ったところでしょうか。クロ狙いでは一級の瀬と言われています。釣り場の岩もそんなに高くはないので、余程波も収まっていないと高波でかぶるかもしれません。ここで釣るには、先端付近と手前の2箇所くらいと思われます。今日くらいであれば何とか釣ることができそうです。したがって、ここで釣るには条件が必要で危険が伴いそうです。
ここから北側の最先端部分や南側海岸線の眺めもとても素晴らしいです。心地よい潮風が吹いて気分も爽快です。のんびりと釣りでもしたら、いいなぁ〜と思わずつぶやいてしまいます。そして写真も撮りおえたので引き返すことにしました。山手を見るとカカラマンジュウの葉っぱがたくさん生い茂っています。葉っぱはやや小さめではあるが。シャニの葉っぱもたくさん生えています。山肌は、昨年の台風で枝が枯れているので、見た目はあまりきれいではありません。早く新緑が出て元通りになって欲しいものです。ハマボウフウ、アザミやハマエンドウなどもあり、ハマエンドウの花は紫と白できれいな草花です。海岸から戻る途中、ヒヨドリの勇ましい鳴き声や、ウグイスの春のおとずれを感じる鳴き声は、冬から春に向かっていることを体感できます。そして灯台を後にしたのです。
湊に行く前に久保田漁港に向かってみました。久保田漁港に来たのは初めてです。漁港の周りは、大小多数の岩が点在し、堤防からの眺めも素晴らしい場所です。大きな港ではないがこじんまりとして長閑な感じです。港のすぐ近くの北側と南側に神様を祭ってあります。恵比須神社です。北側に小さな鳥居がありそれをくぐり神社に行って見ると、何か小さな石碑があります。引き返す途中、漁港付近のハマウドの大きいのに感心するばかりです。こんなところでのんびりと生活できたらどんなに素晴らしいことかと思ってしまうほどです。そんなことをつぶやきながら、この港を後にしました。
県道に出て久保田を過ぎ海岸沿いまで来ると、湊はすぐそこです。そして湊に来ると、すぐ県道沿いに湊神社があります。その神社を紹介するためのたて看板が右側にあります。その看板によると、湊は2番目に古い製塩の歴史を持った集落で、この神社は天照皇大神(火の神=塩屋神)塩屋枚を祭ってあります。ここから少し南に進むと「みなとはし」が架かっています。河口沿いには、ガジュマルやアコウの木が生えています。橋の左側を海に向かって下ると、エビス神社があります。案内用の看板を見ると、この集落は島内でも屈指の風光明媚な地域だと紹介しています。またこの湊川は、14世紀ごろ中国、琉球及び関西との交易の拠点として利用されてたらしい。この神社の周りは、侵食された岩場で無数の穴ができていて、ここからの眺めもきれいです。付近の岩場からはモハミ(舞鯛)なども釣れる場所です。湊の海岸線も岩場が多いのでアナゴもたくさん取れそうな感じです。北側にぐるりと回り、防波堤を県道に向かって歩いて行くと、先ほどの久保田方面の海岸線が見えてきて、いいところだなぁ〜とひとりつぶやくいていました。その防波堤を50メートル進み、先ほどの湊神社の裏側に出て県道に戻り「みなとはし」に向います。
「みなとはし」に戻り、今度は上流を行くことにしました。50メートルくらい進むと、川の中にメヒルギが生息しています。この河口沿いのメヒルギは背丈はそれほど高くはなく、せいぜい2メートル以内です。右手にお店があり、そのお店のものと思われる「トッピー」の天日干しを、川沿いの防護壁の上で見つけ、網カゴの中を見ると9枚干してあります。大きさも40センチ前後でかなり大きいものでした。この「トッピー」を見ていると、無性に焼酎が欲しくなってきて、これをさっと焼いて食ったら、どんなに美味いことかと思ってしまいます。あんまり見ていると、よだれが出そうになってきたので先へ行くことにしました。
お店からすぐ先に大きなガジュマルが生息しています。湊でも一番大きいものじゃないかと思われます。さらに進むとゲートボール場があり、お年寄りが何人か楽しんでいます。ゲートボール場の川沿いからメヒルギがたくさん生息しています。少し先に立て看板があり、ここのメヒルギの説明が書かれています。種子島には3箇所メヒルギの自生地がありますが、この湊のメヒルギの特徴は、何んと言っても背丈が高いことです。高いものでは8メートル以上あります。付近のメヒルギは、ほとんど葉っぱが落ちています。場所によって、カカラマンジュウの葉っぱが木に巻きついているところもあります。湊のメヒルギは、西之表市の指定天然記念物になっています。樹齢はおよそ80〜100年、生育面積は2haとなっています。別名リュウキュウコウガイといいます。川沿いもニガ竹やスダジイがたくさん生息しています。スダジイも新芽をつけており、やや黄色っぽくなっているのが分かります。確実に春はそこまでやってきています。
さらに進むと、川沿いから離れて湿地帯がありますが、そこにもメヒルギが生えています。さすがに、ここの沼地のメヒルギは背丈は短いものがほとんどです。道路沿いには、ムラサキカタバミ、タツナミソウ、スミレ、ウマノアシガタなどの草花が咲いており、春を十分感じさせてくれます。そして田んぼでは、田植えも始まっているし、田植え前の準備もしていて、長閑かな風景を感じとれます。田園風景はいつ見てもいいものです。長閑な気分が何ともいえません。心地よい春風に吹かれての散策も無事終了です。
※散策日:平成17年3月19日
※「トッピー」 →トビウオの意味。
※「アナゴ」 →とこぶしに似た1枚貝で、身はとこぶしに比べて硬い。塩煮や味噌焼きが一番食べやすい。
「喜志鹿崎灯台」をスタート←写真1枚目
↓←写真2枚目
喜志鹿崎海岸に出る
↓
喜志鹿崎の釣り場を確認
↓
引き返す
↓
「久保田」
↓
「久保田漁港」
↓
県道へ引き返す
↓
「湊」
↓
恵比寿神社周辺
↓←写真3枚目
メヒルギ自生地←写真4枚目
↓←写真5枚目
終点、いかだ川下り場所