川脇川のヤクタネゴヨウ

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左側が下流 種子島と屋久島にしか生息していない松の木があります。その松の木は「ヤクタネゴヨウ」といいいます。今この松の木が絶滅しようとしています。最近になって、ようやくこの松を保護しようという活動が生まれ「ヤクタネゴヨウを守る会」も発足されています。その守る会のメンバーらによって植樹も行われています。種子島でこの松は100〜200本くらいしか生息していないのではないかと推定されています。ヤクタネゴヨウはどこでも見かけるものではなく、ある程度山奥の官山でないと見かける機会がないと思われます。したがって実際の生息状況は分からない部分が多いのではないかと推定されます。

 4月19日に古田の川脇川沿いの水力発電所跡地を散策して帰る途中、地元の人の情報でその発電所のまだ下流のところに、ヤクタネゴヨウがあるとの話を聞いていたので一度は行ってみたいと思っていました。

 平成17年4月23日、朝は晴れていましたが、西のほうからだんだん雲が広がってくるのが分かっていましたが、遠くを見ることはないので出かけることにしたのです。西之表市街地から県道76号線を中種子方面に向かって走ること約10分で古田中央公民館前に着き、さらに、その左側の道をまっすぐ川脇川に沿って下流へ向かいました。約4キロ下流へ行ったところで、車を降りて川の中を歩いていくことにしました。車を降りたところは発電所跡地より少し手前です。

右が上流 川の水は前回来たときよりも濁っていなくて大変きれいでした。ちょうど発電所跡地の前の川は、少し深みもあり川底まではっきり見えています。4年前の西之表豪雨により、川の中は大小無数の石がごろごろしています。この川脇川も変わり果ててしまったものです。もう昔の面影もほとんど残っていない状況です。一度破壊された自然はもう元には帰らないんですね。どんなことがあっても…。少年時代は、この川で遊んでいたのに…。

 慣れない歩き方で、石の上を歩くのは大変足に負担が来るようです。特に足首の関節が痛くなってきます。せっかくここまで来たのだからという気持ちが強かったおかげで、どうにかその松があるところまでくることができたのです。発電所跡地から約1キロ下った地点かと思われます。ちょうど川が90度方向転換する大きな岩に、居つくように根を張り出しています。よくぞこんなところに生えたな〜と独り言を発してしまいます。幹の直径は約70センチと推定されます。枝は3箇所くらい枯れて落ちています。相次ぐ台風にも倒されなくてよかったと思いました。岩石に根を生やしているのでしっかりしているのかもしれません。下流での間伐見るからに丈夫そうな感じに見えます。しかし幹の周りには、シダやコケ類がたくさん生えています。この木が何年持つかは分からないけど…。

 その松の木の下は、水の透明度も抜群で底まではっきり見えています。深いとこで、1メートル以上はあります。川のせせらぎの音や時折野鳥の鳴き声が聞こえてきます。自分以外誰もいないので、もう何もかもが自然です。そう、自分は自然の中に「今いるんだ」という思いがいっそう強くなってきます。そういう思いで周囲を見渡すと、何とその下流を見ると山手では間伐をやっています。ここから200メートル前後のところです。向かいの山は、ほとんどハゲ山になっているのが分かります。木を切っているとすればある程度林道ができていて、簡単に人が立ち入ることができるようになっていると思われます。

 この松の木は、何年持つのかなと色々考えながら、木の下の川底を見つめていました。その時タイミングよく水面にその松が写ってきたのです。

「川脇に映る松の雄大さ」

と、つまらぬ句を読みながら松の写真をとっていると、雨がぱらついてきたのです。空一面どんよりしています。この川沿いは雨が降るとあちこち落石があるので要注意なのです。しばらく経って、この松とお別れです。今度来るときは天気のいい日に来ようと思いながら上流へ向かい散策を終えることにしました。

※散策日:平成17年4月23日

川脇川のヤクタネゴヨウの地図「川脇川」(古田)水力発電所跡地周辺をスタート

川を下る

ヤクタネゴヨウ←写真1、2、3枚目

川を上る

発電所跡地

終点、川脇川を後にする