岩場付近のエビ網
海のもので、秋の味覚といえば伊勢えびでしょう。平成20年9月1日(月)、種子島近海で、伊勢エビ漁が解禁になりました。これから翌年の四月まで漁が続きます。また、同日にキビナゴ漁も解禁になっています。伊勢えびは種子島の各近海でたくさん水揚げされています。解禁日の1日は、午前8時に解禁されるので、一斉に自分の好きな魚場に船を出し、えび網を投入していきます。網の幅は一ヒロ、長さは十五ヒロです。
今回、西之表市上能野にお住まいの漁師南安兵衛さんを訪問して伊勢エビ漁の撮影を行ないました。南さんは漁師を50年以上続けています。一日に近場の海に網を入れており、早朝入れた網を引き揚げ行い、港に戻ってきました。午前6時過ぎに漁港へ行き、戻ってくるのを待っていました。ほかの漁船も次々に網を引き揚げて港の戻ってきます。声をかけて見ると、あまり期待できる漁ではなかったようです。6時半過ぎ南さんの船が港に入ってきまして、引き揚げた網を見せていただきました。エビも10匹くらいは掛かっていたとのこと。初日にしてはまずまずの漁だと話してくれました。網には、エビ以外に魚も掛かっています。そのなかで、やっかいなのが「ナベンフタ」です。これがたくさん掛かっています。南さんだけでなく、ほかの漁師の網にも「ナベンフタ」がたくさん掛かっていました。地元では「エイ」のことを「ナベンフタ」と呼んでいます。「ナベンフタ」には、しっぽのところに鋭い毒針があり、扱いには注意を要します。これに刺されると大変なことになってしまいます。
網のいたるところに伊勢エビが絡まっています。エビの足を傷めないように、慣れた手つきで伊勢えびを夫婦で解いていきます。それが終ると、網から藻などを取り除き広げていきます。網から外した伊勢えびは、小型コンテナに入れ、種子島漁協の収集車が来るのを待ちます。8時になると、漁協の車が港にやってきてエビを入れたコンテナをせりが行なわれる漁協本所まで運んでいきます。したがって、本所に行かなくても漁協従業員により後のことは面倒見てくれるようになっています。
漁協本所では、各小浦から収集したエビのコンテナを下ろし、大、中、小の大きさに選別を行ないます。選別が終ったものから計量していきます。計量が終わると、選別されたコンテナでせりを待つのです。今回は水揚げが少なく、一キロあたり4500円のせり値がつきました。昨年に比べて500円くらい高くなっています。また、せり値は「中」が高く、大と小はそれより安値で取引されます。また、「中」の大きさが一番美味しいといいます。大きいのは食い出はあるが、身が固くなり味も劣るといわれています。
ところで、伊勢えびの食べ方ですが、刺身、味噌汁、塩でゆでる、などが一般的です。特に味噌汁にすると、出しも三回は取れるといわれています。エビの中でも伊勢えびは、なかなか口にする機会が少ないエビです。種子島近海の綺麗な海で育った伊勢えびは、身が引き締まり味も食感も抜群です。ぜひ、一度は種子島の伊勢えびをご賞味ください。なお、伊勢えびは組合員でないと漁はできません。十分注意してください。これから各地域の波止めでは、波消しブロックの隙間を狙い、伊勢えび釣りも多くなってきます。
写真1枚目は、岩場の付近にエビ網を入れています。夜になると、エビが活発に活動するので、網に引っ掛かります。周辺にはたくさんの網を仕掛けていました。
写真2枚目は、早朝海に出て、前の日入れていた網を引揚げていきます。この日は海も荒れ気味で波も高くなっており、大変だったと話していました。
エビ網の引揚げ
網からエビを外す
写真3枚目は、南さん夫婦です。網から伊勢えびを外しているところです。慣れた手つきで、てきぱきと行なっていました。
写真4枚目は、今日の収穫です。中くらいの大きさで、せりも高値で取引されていきます。
コンテナの中...
網を広げる
写真5枚目は、次の漁のために、網をほぐしていきます。不純物などを取り除いているところです。周りにいる人も手伝ってくれます。
写真6枚目は、午前8時ごろ漁協の車が港に入ってきます。エビの入ったコンテナを積んでいるところです。
収集車へ積込む
エビを選別
写真7枚目は、漁協本所では、収集した伊勢えびを、大、中、小に選別していきます。その作業を行なっているところです。
写真8枚目は、選別した伊勢エビを計量しているところです。
エビの計量
選別されたエビ
写真9枚目は、選別が終ると、海水につかったコンテナで、せりを待つのです。今日のせり値は、中で一キロ4500円でした。なお、せりは午前9時から行なわれます。
なお、伊勢えびについては、種子島漁業協同組合(0997-22-0620)にお問い合わせてください。