1. ふるさと種子島>
  2. 南種子町の情報>
  3. 西之地区砂糖すめ体験

昔ながらの黒糖作りの貴重な体験

バショウの皮で器を作る

バショウの皮で器を作る

南種子町西之は、町内南西側に位置している校区です。温暖な気候に恵まれ、種子島の主幹作物であるサトウキビやサツマイモを多く生産しています。その中でサトウキビは農家の貴重な収入源になっています。豊富なサトウキビが取れることで、今から20年前に砂糖すめを行っています。「砂糖すめ」とは、昔ながらの道具を用いてサトウキビの絞り汁を煮立て黒砂糖を作ることをいいます。

その後、平成2年文部省指定「勤労生涯学習」推進校研究公開で、「きびの生産から砂糖すめまで」を行ってきました。西之の砂糖すめは、西野中学校のPTAが主体になっています。しかし、西野中学校は、平成6年3月で歴史を閉じ、現在は南種子中学校に統合されています。砂糖すめには、西之の中学生、小学生、西野小学校の先生、校区関係者など参加して行っています。今回は、中学生28名、小学生10名前後参加しています。そして、サトウキビ5束ずつPTAで持ち寄っています。

西之の砂糖すめの特徴は、昔の発動機・圧搾機でサトウキビを圧搾し、その絞り汁を煮詰めて黒砂糖を作りますが、作業工程の中で、一切温度計など使用せず、頭領の長年の経験で積み上げてきた勘によって黒砂糖を作り上げていくことです。したがって、子供たちは昔ながらの黒糖作りの貴重な体験ができるわけです。西之の砂糖すめ作業を掲載しています。

写真1枚目は、黒糖アメを作るために、その器を作っているところです。バナナに良く似たバショウを切り倒し、それを1メートルに切り落として皮をむき、両端を内側に折り曲げ、その中にアメ状になった黒糖を流し入れ乾燥させます。バショウの皮は、大変ツルツルしており、アメがくっつかないといいます。乾燥させると取り剥ぎが容易にできことです。

写真2枚目は、収穫して持ち寄ったサトウキビは、圧搾機にかけて絞り汁を集めます。機械の下はタンクになっており、絞り汁を一時的に溜めています。写真の圧搾機は、奄美大島から取り寄せ、平成2年の研究公開で使用しています。機械は、1963年製で、特許第1号機、神前鉄工のものです。

キビを圧搾機で絞る

キビを圧搾機で絞る

発動機で圧搾機を稼動

発動機で圧搾機を稼動

写真3枚目は、圧搾機を稼動させるためのエンジン、昔のヤンマーディーゼルの発動機です。排気量は0.567リットル、最高出力は8馬力、1800回転です。現在もトラブルもなく順調に回っています。圧搾機と発動機は、ベルトのたすきがけです。発動機のそばには、ベルトの滑り止めに使うベルトワックスも置いていました。発動機の懐かしい音が、昔を想像させてくれます。

写真4枚目は、圧搾機で絞られた汁は、一号鍋に入れて、石灰を添加されアクと不純物を網で丁寧に取り除くことが大切です。一回の処理で、48キロの黒糖ができるとのこと。絞り汁は約200リットルくらいです。子供たちがアクを取り除いているところです。

アク・不純物を取り除く

アク・不純物を取り除く

味を確かめる

味を確かめる

写真5枚目は、一号鍋で煮詰める作業を行いますが、煮詰める汁をとり、味などを確認しているところです。当方も味見しましたが、一口で言うならば、「まろやか」な甘い味でした。このときから黒糖の味になっています。温度管理は、匂いや味によって判断します。

写真6枚目は、最終段階の鍋で拡販しているところです。黒糖は、ちょうどチョコレート色になっています。頭領の勘に頼り判断されます。砂糖の匂いとか、攪拌するときの力の入れ具合などです。

アメ状になるまで練る

アメ状になるまで練る

丸鍋に移す

丸鍋に移す

写真7枚目は、最終鍋から攪拌するための丸鍋に移しているところです。ご覧のように粘りが出ているのが分かると思います。

写真8枚目は、最終段階の鍋から取り出した煮汁は、アメ状になっており、すばやく攪拌させていきます。空気が混ざるような感覚で。次第に粘りが出てくるまで行います。

練り上げる

練り上げる

木型に流し込む

木型に流し込む

写真9枚目は、丸鍋で攪拌が終わった後、木型に流し込んでいる作業です。型枠を差し込み長方形状の黒糖になるよう乾燥させます。

写真10枚目は、バショウの器にアメ状の黒糖を乾燥させていましたが、それを器から剥ぎ取っているところです。剥ぎ取った黒糖は、シャニンの葉に包みビニールに入れ包装します。そして、参加者で分配されます。美味しい黒糖アメの出来上がりです。

シャニンの葉に包む

シャニンの葉に包む

砂糖を剥ぐ

砂糖を剥ぐ

写真11枚目は、バラの黒糖です。薄く広げて乾燥させていましたので、それを剥ぎ取っているところです。アメ状になっており、くっついており剥ぎ取りも力が入ります。そして、子供たちがビニールにいれます。美味しい黒糖の出来上がりです。

子供たちの昼食

子供たちの昼食

写真12枚目は、子供たちが昼食をしているところです。お母さんたちは、子供たちや大人の参加者の食事の準備をしています。やはり、食事のときは楽しい。

なお、砂糖すめについては、南種子町役場社会教育課(0997-26-1111)までお問い合わせてください。

【撮影場所】
鹿児島県熊毛郡南種子町西之西野中学校跡
【撮影日時】
2008年12月14日(日)/8時07分〜12時16分
2016.6.19〜