西之表市伊関沖ヶ浜田地域に伝承されている「ハマ祈祷」です。毎年一月十五日前後に、午前九時半からハマ祈祷場で、各関係者のみにより行われています。今年は、穏やかな晴天に恵まれてのハマ祈祷でした。
種子島の各地域で行われているハマ行事は、「ハマ祈祷」、「町祈祷」とも呼び、地域によっては、「先祖祈祷」とも呼んでいます。悪魔を退治し、地域の繁栄、安泰、無病息災などを祈る行事です。沖ヶ浜田の特徴は、祈祷が始まる前に、ほら貝を吹き、祈祷が開始されることを宣言します。他の地域では、見られない独特のものです。また、仏事によって、祈祷するところも特徴的です。
まず、関係者は、神主宅に集まります。ここで、祈祷に必要なもの(お米、大豆、塩)を準備しているので、これを祈祷場へ運んでいきます。祈祷場へ到着すると、法華宗日典寺のお師匠さんの祈祷によりハマ祈祷が開始されるのです。
ハマ行事では、地域の境界や入口に竹に魔除けの札を差したり、ニガダケで作った弓矢をおいたりします。
写真は、ハマ祈祷です。右方に御神体の石があり、右に魔よけの立て札をさしています。御神体の前の柵は、てっかいと呼び、これより先は、人が足を踏み入れたり、入ったりしてはいけない、神聖な場所で、そのために柵を作っているのです。その前には、お神酒、大豆、塩、お米、焼酎が置いてあります。ろうそくに火が点けられると祈祷が始まります。 | |
てっかいの中央にあるのが魔よけの立て札です。仏壇の祭壇に置かれます。 | |
ハマ祈祷は、ほら貝を吹いて、祈祷が始まることを宣言し、法華宗日典寺のお師匠さんにより執り行われます。 | |
ハマ祈祷は悪魔を退治し、地域の繁栄、安泰、無病息災、交通安全、海上安全、五穀豊穣などを祈る行事です。お題目を唱えたり、唱題行を唱えたりして、祈祷されます。その間関係者は、静かにお題目を聞いています。写真は、供え物です。お神酒、大豆、お米、塩などです。 | |
祈祷が終わると、お神酒を受けます。最初は、お師匠さんが今年の神主にお神酒をつぎます。 | |
お師匠さんが、一人ずつ頭から背中まで、祈祷筒を当てて、悪魔祓い、病魔祓いを行います。これが終わると、祈祷は終了します。 | |
祈祷が終わると、関係者により、祈祷場にある立て札や弓矢の間を貫通するようにニガダケで作った弓矢で、三回矢を放ちます。これが終わると、祈祷場での行事は全て終了します。 | |
ハマ祈祷が終わると、神主宅でナオライが行われます。写真は、仏壇を写しています。酢の物、煮物をおいて、一年間の豊作と作業安全を祈願します。また、お師匠さんが仏壇の前で祈祷してくれます。 | |
写真は、仏壇に供えた煮物です。あっさりした味になっており、とてもヘルシーな食べ物です。 | |
神主宅では、ナオライの準備を奥様がしています。まず、関係者より、甘酒が振舞われます。最初は、お師匠さんがいただきます。続いて、全員に廻されます。甘酒が、全員に廻されると、いよいよナオライです。 | |
今年のハマ祈祷や地域のことなど焼酎を飲みながら語らいます。今回、ナオライに参加させていただきました。関係者の皆様には、大変お世話になりました。 写真は、ナオライで出されたお膳です。吸い物、お刺身、酢の物などです。吸い物に豆腐を使っているのが特徴です。 |
※ 2015年1月15日、西之表市伊関沖ヶ浜田で行われたハマ祈祷を撮影したものです。この動画の中には、ハマ祈祷場での神事、弓矢、ナオライなどを収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。
【種子島の伝統行事:ほら貝吹いて始まる沖ヶ浜田のハマ祈祷弓矢で悪魔祓い】
※ 2014年1月15日、西之表市伊関沖ヶ浜田で行われたハマ祈祷を撮影したものです。この動画の中には、ハマ祈祷場での神事、弓矢、ナオライなどを収録しています。
なお、YouTubeでのアドレスとタイトルは次の通りです。
【種子島の伝統行事:西之表市沖ヶ浜田のハマ祈祷弓矢で悪魔祓い】