国道58号線を西之表市街地から中種子に向かって車で走ること3分で、種子島合庁前のバス停に着きます。先週までは雨模様の天気が続いていましたが、ここへきて晴天の日が続いています。しかし、風がないので散策となると少々きついかもしれません。種子島合同庁舎の前を通り、箱崎海岸に向かいました。この下西校区で合同庁舎がひときわ目に付きます。西側には風力発電機のプロペラが3機あり現在稼働中です。
しばらく進むと三叉路の左に、箱崎海岸という案内用の看板があります。それにしたがって進むと、特別養護老人ホームわかさ園の入り口が見えてきます。この辺は住宅街でところどころ畑もあります。その畑のサトウキビが台風14号の強風で倒れています。しかし自然の復元力は大したもので、倒れたサトウキビも必死に起き上がろうと上に伸びているではありませんか。感心しながら歩いていると、道沿いには、ツユクサがたくさん花をつけています。よくみるとカタバミも花をつけています。畑には、サツマイモも作っておりよくみると、葉っぱは青虫が食った跡がたくさんあるようです。その畑の土手には、土手かぼちゃも生えています。まだ、実はつけていないようですが…。海岸の前には、塰泊部落の運動場があります。その北側には、公衆トイレも完備されています。道路脇の草木は、台風14号で痛んでいます。ほとんど枯れているものが多く、見た目も非常に悪くなっています。その中には、臭木もあり花も弱々しく咲かせていました。
公衆トイレを過ぎると、正面に西之表港の北側が見え、とても眺めも抜群です。周辺には、トベラ、山びわ、シャリンバイなど多数生い茂っています。両脇からは、ヒグラシの蝉がやかましいほど鳴いています。しばらく進むと、箱崎海岸へ到着です。
「箱崎の 涼し風吹くや 蝉の声」
まず海岸に出て前方の大きな瀬の上に立つと、東シナ海が広がっています。西側に、少し霞んでいますが馬毛島が見えています。さらに南西側をみると、微かではあるが屋久島も見えています。快い渚の音がしています。海も穏やかなので、漁船は馬毛島方向に出漁していきます。また北側を見ると、大隈半島も見えています。条件がよければ、薩摩富士(開聞岳)も見えるのだが…とても残念です。そしてこの瀬は好釣り場になっています。
この海岸を南に向かいました。ごろた石を歩くとたくさんのフナ虫が動き回っています。また、林の中を見るとゴミが散乱しています。そして海草などが多数うちあげられています。時間が経つうちに、遠くの霞も段々となくなり景色も良くなってくるのがわかります。沖の防波堤には、釣り人もいますが、何を釣っているか分からないです。普段歩き慣れていないので、少々足が痛くなってきます。陸側には、ハマボウフウ、ハマアザミ、ネコノシタ、ハマユウ、そしてヤブマオなど多数の草花が花を咲かせています。どうにか塰泊漁港の一番北側に到着。
ここから眺めると、西之表港が一望できる場所です。海の中を見ていると、15センチ前後の小魚が多数長閑に泳いでいます。その中に、釣り人で知らない人はいないスズメダイのエサ取りもいます。防波堤の先端部分に差し掛かったとき、ちょうど9時5分到着の高速船ジェットフォイル「トッピー3」が鹿児島から沖を通過していきました。また内海側の海中を見ていると、体長15センチくらいのヒラアジが9匹群れを連ない、エサ求め泳いでいまいます。
漁港の手前では、漁礁がたくさん作られています。一辺が1.5mくらいです。その漁礁に番号が打たれています。例えば、H17−1 2t 9などと、おそらく、H17−1は平成17年度1工区の意味だと思いますが…。2tは分からないが、9は通し番号。西側には民宿の立て看板もあります。そして、陸側を歩くとまばらながらネコノシタ、アキノノゲシ、ツルソバなどが花を咲かせています。またノブドウは青や赤の実をつけています。そして排水路のところに来て水の中をみると何と、ミナがいます。それもたくさんです。どう考えても私には、この排水路にミナがいるのが理解できません。余程、ミナにとって条件がいいのでしょう。
漁港では、漁船を陸揚げして、船底に付いたカキを取り除く作業ををしていました。塗装の準備をしています。また、近くでは、水揚げされたばかりのザコをたくさん天日干しにしていました。
漁具倉庫付近には、ミヤコグサや軍配昼顔がたくさんきれいに咲いています。また海の中には、ハリセンボンが腹を上にして死んで浮かんでいます。また、クラゲも海面すれすれを泳いでいます。岸壁の隅では年輩のおばさんが破れた網を補修しています。大変な作業だと感心しながら陸側へ向かいます。西之表市教育委員会が設置した「漁師の天気予報」、「馬毛渡り」などのふるさと歴史散歩の立て看板があちこち立てられています。
遊漁船を係留しているところに向かい、そして海中を見ながら先へ歩いて行くと、驚いたことに、何とこんな陸地に近いところにザコの大群がいるではないか。こんなことに遭遇するなんて、滅多にないことです。すぐにデジカメで写真を撮ることに成功。潮の流れに乗ってきたのか。それとも天敵に追われてきたのか分からないけど…。時間はちょうど9時42分ごろです。きょうは、これを見た分だけでも十分。しばらく先へ進んでいると、先ほどの群れが移動し始めていきます。巾60センチくらいの帯状になって沖のほうへ泳いでいきます。潮目が変わったのかもしれません。こんなこと海水の中で生息する生物は本能で分かるのかも。いやいや自然はいつ遭遇するか分からないですね。
このような光景に満足しながら先へ向かうと、漁港の少し手前に公民館があります。その公民館の海側に大きなガジュマルが生えています。その大きさからして相当な年月が経っていることが簡単に予想がつきます。ここのガジュマルは昨年の台風によっても、今回の14号台風によっても、ほとんど影響もなく、また葉の落下もなく生い茂っています。
安徳橋を渡り、急ぎ早に川迎の日典寺へ向かっていきました。ここは、西之表市の重要文化財に指定されています。日典上人が法華宗を布教した寺で、東側(右側)には、大きな藤棚があり季節になると訪れた人たちを楽しませてくれています。そして私が一番好きな場所は、その藤棚がある階段を上がると、寺の境内で一番高い所に着きます。そこから西之表港を一望でき、大変景色がいい場所があるのです。ちょうどその下の海岸線には日典上人の供養塔が建てられています。
この日典寺を最後に今回の散策も無事終了です。
※散策日:平成17年9月19日
※「ザコ」→キビナゴのこと
「塰泊」(下西)合庁前交差点をスタート←写真1枚目
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わかさ園入口を通過
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箱崎海岸
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塰泊漁港へ←写真3枚目
↓←写真4枚目
塰泊公民館前を通過
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安徳橋を通過
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日典寺←写真5枚目
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JA下西支所前を通過
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終点「川迎」の日典上人の供養塔(城ヶ浜海岸)