平成22年10月9日(土)、赤尾木城文化伝承館月窓亭において、市内の子供たちを対象とした伝統文化こども教室が行われました。
これは「地炉(囲炉裏)の会」が主体となり、お年寄りとのふれあいを通して、種子島の昔の行事や伝統・民話などを楽しく学ぶことを目指しています。
今回5名の子供たちが参加してくれました。
平成22年4月29日に、種子島家屋敷の月窓亭が一般公開され、それ以降、伝統文化子ども教室は、月窓亭で行われるようになっています。
今回は、種子島の十五夜のおはなしです。月窓亭の二階のベランダには、ススキ、ハギなどを花びんに生け、角巻(つのまき)、サトイモ、栗など季節の果物を供えていました。
会は、「きょうはめっかりもうさん」という種子島弁のあいさつで始まりです。
正座して、手を前につき、深く頭を下げてきちんとあいさつしてくれました。
十五夜について、川村先生が話をしてくれました。その話を要約すると、昔の種子島での十五夜は、次の通りです。
旧暦の八月十五日に行われ、中秋の名月を祝う行事。花びんには、ススキ、キイバナ(オミナエシ)、ハギなどを生け、月の見える位置に供え、焼酎、サトイモ、角巻、そして季節の果物などを供えて祝ったという。
男の子は、綱引きや相撲を取ったりして遊び、女の子は、弁当(煮しめ)などを持ち寄って、月見を楽しんでいたという。
お弁当の煮しめは、大根、こんにゃく、揚げ豆腐、昆布、デンプンなどを使っていた。また、この時期になると、ざこ(きびなご)が獲れ、ざこの酢ざーやざこの煮しめを持ってきていた。
綱引きに使う綱は、茅を根から引き抜いたものを使い、補強用にわらやゲットウなども使う地域もあった。
綱練り用の茅は、短いものは不向きで、1メートル以上のものを一般的に使用していた。せまい開拓(現在の公民館)で、綱を練り、練りあがった綱で、男と女で分かれたり、大人同士、大人と子供同士で綱引きをしていた。
十五夜に関係ある絵本の中から、瀬戸内寂聴さんの「月とうさぎ」の読み聞かせを鮫島先生が行ってくれました。
十五夜のお話が終わると、供えてあった角巻をみんなで食べました。角巻は、ダンチクの葉で、アク汁につけたもち米を、三角形にくるみ蒸したもので、昔からあった団子菓子です。
話を要約すると、ある森での出来事で、おじいさんとうさぎ、さる、きつねの物語です。
ある日、おじいさんが倒れてしまい、さるときつねは、種や川魚などを上手に取ってくるが、うさぎは何も収穫がなく、おじいさんにすまないという気持ちになります。次第にその気持ちが強くなり、最後にうさぎが、今日こそは獲物を取ってくると、さるときつねに誓います。そして、薪を集めて燃やす準備をしておくように言って、出かけていきます。遅くなってもうさぎが帰ってこなかったので、薪を燃やしていると、うさぎが帰ってきます。何の収穫もなかったので、うさぎは、自分が犠牲になることを決心し、自分をおじいさんに食べさせてほしいといいながら燃やした火の中に飛び込みます。その瞬間、うさぎは神様が迎に来て、うさぎは天の神になり、月まで投げ上げたというものです。絵本は、うさぎの悲劇的な物語になっています。
角巻は、お茶や黒砂糖、砂糖などをつけて食べます。アルカリ食品なので、とてもヘルシーな食物なのです。子供たちも上手に角巻を剥いで、食べていました。
昔は、農業や漁業が主でした。お月様の位置によって、潮が引いたり、満ちてきたりと、自然相手の作業には、大事な情報源だったのです。月の状態でのカレンダー代わりになっていたのです。満月の日に、お月様を感謝していたわけです。
また、昔は、娯楽がない時代。人々の工夫で、遊びを作っていたのです。
なお、子供教室については、種子島開発総合センター(0997-23-3215)へお問い合わせてください。