平成23年1月8日(土)、種子島開発総合センターにおいて、市内の子供たちを対象とした伝統文化こども教室が行われました。
これは「地炉(囲炉裏)の会」が主体となり、お年寄りとのふれあいを通して、種子島の昔の行事や伝統・民話などを楽しく学ぶことを目指しています。
今回は、種子島のお正月行事である「このみやじょう」を作ることです。地炉の会が行われた種子島開発総合センター(鉄砲館)の入口には、お正月ということで、しめ縄をしていました。
鉄砲館入口のしめ縄には、特徴がありまして、種子島家のしめ縄なのです。
ところで、このみやじょうは、種子島の各地域で実施されている正月行事です。一月十四、十五日の小正月に行なわれ、蚕のまゆににせた四角に切られた切り餅をやなぎやコヤスギの小枝にさし、門木や家の中の柱に飾って蚕の豊作を祝います。
写真は、種子島家のしめ縄「鶴の巣」です。「鶴の巣ごもり」と呼ばれており、しめ縄の下に、茅で編んだ篭を結びつけ、中に丸い餅を入れており、「鶴の巣」の上のダイダイは、鶴の卵を表しています。また、しめ縄は、代々横山の園田家が作っていたといいます。
写真は、お正月ということで、農機具などにしめ縄や飾り餅をしているところです。今年の豊作を祈り、作業の安全なども祈願していきます。
昔は、小枝に使う木は、ロクロギを使っていました。ロクロギは、別名エゴノキとも言います。したがって、エゴノキとロクロギは同じものなのです。
子供たちが来る前に、会の皆さんが、紅白の切り餅の準備をしていきます。それが、写真です。そして、切り餅を差す小枝は、エゴノキの小枝を準備しています。
写真は、今回作るこのみやじょうの切り餅をロクロギの小枝に差したものです。目出度いことなので、切り餅は、奇数個差していきます。
写真は、昨年作ったこのみやじょうの切り餅です。家の中に、一年間柱に飾っていたそうです。餅もカビがまったく生えていなく、年数の経過を感じさせないほどでした。
大人も子供も、小枝に紅白の切り餅を刺していきます。枝も柔らかいので、予め、爪楊枝で餅に穴を開けておき、それから差し込むと容易に出来上がります。
このみやじょうということで、会員の石原さんが、上石寺の「このみやじょう」の歌を歌ってくれました。その歌を聞きながら作業を楽しんでいました。
途中から、鉄砲館のガイドさんも参加してくれ、全ての小枝に切り餅が付けられ、今回のこのみやじょうも終了しました。
今回歌ってくれた、上石寺の「このみやじょう」の歌詞は、次の通りです。
(口上) いつもの通りお祝い申す
やーらやーら これから申す 門から申す
この家は 裕福な家と お見かけ申すよ
嘸かしこの家 蚕の宮祝うて
おじゃんろうから 祝い申すよ
九十九回の 蚕の宮じょうよ
廻し召す先に 綾をあげて 錦を広げ
やー幸取 幸取
確と産ませて あれより東の
阿僧平の峠の けんけんどいの 雌鳥
右の尾生羽 左の風切り おっとり会わせて
一羽がいで すくえば 千枚すくうく
二羽がいで すくえば 二千枚すくう
三千枚の 蚕種子を 寄せ集めて
蟻蚕にならば はいらいらいと申す
眠蚕におじゃる時ゃ 粒々と申す
熟蚕におじゃる時ゃ 簇の上に召された
やー 春駒は 夢に見てさえ ものゆきものと申す
祝いは じょうのこまから ららんらん
やー じょうの食甘は
雨桑も食らわん 露桑も食らわん
赤繭白繭 懸せ給うは
母じょう様か 娘じょうかよ ららんらん
やー この繭の 繭の硬さは 天河原の
石より硬う 御ざるよ ららんらん
なお、このみやじょう、子供教室については、種子島開発総合センター(0997-23-3215)へお問い合わせてください。