平成24年2月4日(土)、南種子町下中青少年会館において、鶏の専門家である鮫島正道先生をお迎えして、「インギー鶏の形態と特徴」「種子島の自然と生き物たち」の講座が行われました。
南種子町下中は、インギー鶏のふるさとでもあります。ドラメルタン号が漂着した乗組員からお礼としてもらったインギー鶏を今日まで、大切に飼育してきています。
そのインギー鶏について、鹿児島県の動物研究の第一人者である鮫島先生のお話をお聞きし、今後の地域発展を目指そうとするものです。
「種子島の自然と生き物たち」についての詳しいことは、南種子町役場社会教育課(0997-26-1111)にお問い合わせてください。
参加者の質問に、丁寧にお答えしている鮫島先生です。
下中公民館長のあいさつで、講座が始まりました。鮫島先生のお話を聞いて、地域として、これから何ができるか考えていきたいなどと話していました。
鮫島正道先生です。先生は加世田のご出身で、現在、第一幼児教育短期大学の教授で、鹿児島大学農学部の客員教授、同大学法文学部・理学部の非常勤講師でもあります。また、鹿児島県の文化財審議会委員でもあり、多方面にてご活躍されています。また、秋篠宮殿下にも鶏に関することで、ご講義されています。
インギー鶏は、南種子町立花峰小学校で飼育されています。児童がそのインギー鳥のお世話をしているのです。先生によると、飼育も適正に行っているとのこと。
インギー鶏は、寺内昭徳さんが今もなお、昔から引き継いできて飼育されています。その飼育状況を先生が訪問されています。
インギー鶏の写真と鶏の部位の名称です。鮫島先生によると、昔は船の中には、今のように冷蔵庫とかがなくて、食料として、生きたまま飼育しながら、つぶしながら食材に使っていたそうです。航海の途中、中国から鶏を手に入れ、それをドラメルタン号に飼育しながら乗せていた可能性が高いのではと話されていました。しかし、実態は分からないとのことでした。これについては、講座が終わって、質問でも出てきました。「昔から聞いていることだけど、イギリスから持ち込んできたと聞いている」ことなどの質問もありました。これについては、実態は分からないけど、鶏の分類から見ると、名古屋のコーチンの部類に属するといいいます。
インギー鶏のメスです。オスにくらべると、少し体型も小さくなっています。
国指定天然記念物の薩摩鶏です。けんか鶏として有名です。江戸時代に鹿児島藩内で作り出された闘鶏の一種です。
国指定天然記念物の地頭鶏です。鹿児島と宮崎で、作り出された鶏です。
鶉矮鶏とインギー鶏です。体型を見るかぎり、矮鶏には尾っぽがないけれど、インギー鶏には、立派な尾っぽがあることが特徴で、見栄えもこちらがいいと話されていました。
鶏の歴史を示したスライドです。世界の鶏は、体型的には、四つの分類に分けられるといいます。@地鶏型〜原種であるセキショクヤケイに似ていること。翼が長く、大きいことが特徴。Aスマトラ型〜尾羽が多く、長く伸びることが特徴。Bマレー型〜上体をそらしてまっすぐ立つ姿勢が特徴。Cコーチン型〜名古屋コーチンのように採肉用に改良されて肉付きがよいのが特徴。
インギー鶏の価値として、考えられることは、日本のほかの地にない、独特の形質的な特徴を持っていること。品種の系統保存がしっかり管理されていること。系統保存のための保護活動がなされていること。伝来後100年以上も本来の系統が地域の努力で、維持されており、文化的な価値も認められることなどです。
県指定の文化財として目指すならば、形や大きさなどの基準的なものを作り、条件整備を整える必要性があるのではなどと話されていました。
種子島は、渡り鳥のルートにあって、その中継途中にあるとのこと。野鳥の数も多く見られるのが特徴です。約2万年前は、種子島、屋久島は本土と陸続きになっていました。このときのウルム氷河期で、南北の大陸が氷りついて、海面が、140メートル低くなったため陸続きになったとのことです。そのときに本土からの生態系と同じようになり、動物も残る結果になったといいます。
ウォーレスの世界の動物地理区のスライドです。ちょうど、種子島付近は、旧北区と東洋区の境界付近にあります。
種子島の海岸線のスライドです。砂浜、岩積、干潟の三種類に分類できるといいます。
種子島の海岸線の砂浜には、時期になると、ウミガメが産卵にやってきます。種子島で見られるウミガメの多くは、アカウミガメです。そのほか、アオウミガメもやってきます。特に、アオウミガメは、食材としても有名です。
渡り鳥のサシバです。海のえさを求めて、ホバリングで小魚などを捕らえていきます。
ニホンヒキガエルです。鮫島先生のお話によると、種子島では、特に大きいヒキガエルが多数見られるとのこと。これは、大いに自慢していいことだと話されていました。全国的に数が減少しているといいます。
種子島で見られるトノサマガエルです。これも全国的に見れば、種子島では多く見られると、話されていました。
種子島で見られるイシガメです。通常、種子島では「コウヅマ」と呼んでいるものです。これも全国的に見れば、種子島のイシガメは、型も大きいと話されていました。
種子島で多く見かける「カラスヘビ」です。正式名称は、「ヤマカガシ」です。人の話によると、一升瓶くらいのヤマカガシがいるとの話も聞いています。
一般的に、爬虫類は、相当長生きするといわれています。また、ヤマカガシは、猛毒を持っていることも忘れてはいけません。昔から、無毒の蛇といわれていましたが、奥歯と、首の背に猛毒を持っているといいます。命に及ぼすくらいの猛毒です。くれぐれもご注意くださいね。
マムシの写真です。種子島には、マムシも全国的に多く生息していると先生は、お話していました。種子島でも、マムシから噛まれて病院に運ばれる人もいます。くれぐれもマムシにご注意くださいね。
南種子町、茎永宮瀬川河口のトンネルの中で、見られるコキクラシコウモリです。通常見る機会がほとんどありませんね。
アオサギです。種子島でも各地で見られるという。ツルによく似ていますが、飛んでいるときの姿に相違があります。サギは、首を曲げて飛行するようですが、ツルは首を伸ばして飛行するといわれています。この違いで、見分けができるといわれています。
鳥の宝石といわれる「カワセミ」です。種子島でも見かけると先生が教えてくれました。
この日、鮫島先生の種子島の自然やインギー鶏のお話に熱心に聞き入っていました。改めて、種子島の自然を再確認できたのではと思います。