種子島開発総合センターでは、平成23年9月からわかりやすい考古学講座「掘ったぞ 種子島」と題して、月に1回開設しています。これは、考古学や種子島の歴史に興味と関心を持っていただくための事業で、全6回の講座を開催しています。
その内容は、種子島の各地で、発掘調査を行った遺跡を紹介するものです。発掘調査したものを直接見たり、スライド等で解説し、わかりやすく遺跡の説明を行っています。
平成23年12月10日(土)、2階会議室において、種子島開発総合センター和田講師を迎えて、「第4回発掘寺之門遺跡」の講座が行われました。
ところで、寺之門遺跡は、西之表市国上寺之門に所在し、周囲を大田川の支流によって形成された縄文時代早期(約7000年)の遺跡です。
中山間地域総合整備事業に伴い、西之表教育委員会が平成22年〜23年度にかけて発掘調査を行ってきたものです。出土品は、約500点に及び、磨石、スクレーパータイプの石器や貝殻文・撚糸文系の土器片が多数出土されています。その中に、用途不明の軽石製品も4点出土しています。
今回の発掘では、当時の生活痕である住居跡が見つからなかったことと、ほとんどが削平により消失したことが分かっています。
調査範囲が広範囲にあり、南東部中央付近の狭い範囲に、出土品が折り重なり出土したことは確かにそこで、生活していたことを証明するものであり、種子島の縄文時代早期の解明にも重要な遺跡になっています。
和田講師による寺之門遺跡の説明です。スライドを使っての分かりやすく、丁寧な講義をしてくれました。
寺之門遺跡は、調査範囲が約8000平方メートルという広範囲に及び、特に北側の調査区域では、浅い発掘から岩盤が出たりと、遺跡につながるような出土品は出ていなかったことなどお話してくれました。
熱心に講義を聞き入る受講者の皆さんです。メモを取りながら興味深くスライドなど見ていました。
調査区域12トレンチのスライドです。南東部のやや中央付近です。スライドの地図で確認できると思います。
ここでの特徴は、表土より80センチの地点で、「種V・W(火山灰層)」が、150センチで「種T・U(火山灰層)」を確認しています。ちなみに「種V・W」の年代は、約3万年〜3万8千年前、「種T・U」は、年代不明です。
復元途中の出土品です。写真左は、口縁部が外側に湾曲した土器です。口縁部には貝殻文が、胴部分には、磨消縄文が見られるとのこと。写真右は、底部まで沈線文が施されている土器です。
剥片石器です。薄っぺらな石器で、やや黒い石器でした。
講座の最後は、寺之門遺跡から出土した主な石器を見せてくれました。私たちの先祖が実際に使っていた石器です。こんなことを考えながら見入ると、遠い昔から、人間はなんと素晴らしいものかと考えさせられますね。
最後の写真は、寺之門遺跡の出土品です。磨石、軽石石器などです。特に軽石石器については、用途が特定できていないということでした。私たちの先祖はどんな暮らしをしていたのでしょうか。石器からいろいろなことが想像されますね。
ところで、講座は無料で、市内に在住、または通勤、通学している方ならだれでも参加できます。なお、定員は30名程度で、先着順となっています。
詳しいことは、種子島開発総合センター(鉄砲館)(0997-23-3215)にお問い合わせてください。