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牧とは、同族をさす呼び方で、一般的に群れを意味しています。したがって、稲作が始まってから、自然に発生した牧であります。その後、江戸時代の八代将軍徳川吉宗の時代に諸藩に牧を設けていたと言われています。牧は種子島だけではなく、全国的にあったのです。そして、山林や放牧場に発展していき、同族集団の規模も大きくなり集落を形成してきました。種子島では六代島主種子島時充が、一三五二年頃から製塩を始めさせていきます。明治時代の地租改正の頃まで約五五〇年間の長きに亘り、種子島の社会経済の基礎をなしてきました。
ところで牧は、牧(まき)、御牧(おまき)・御用牧、塩屋牧(しおやまき)の三種類に大別できます。
牧〜田畑で家畜で耕して普通に生活をしていた集落の牧。
御牧・御用牧〜殿様用の牧で、武士が使う軍用馬や乗馬を飼育。
塩屋牧〜製塩を作るため塩焚きにする薪を運搬するための馬を飼育。
なお、牧の神は、別名馬頭観音などとも呼ばれています。一般的には「陰暦の申の日においでになった神」を祭ることを言っています。塩屋牧の場合は、牧の共有権を持った塩釜の神を氏神として祀っているところもあります。
※牧用語の説明
牧本(まきもと)・牧頭(まきがしら)〜牧の中心者或いは中心人物のこと。
株主(かぶぬし)〜牧の共有権者のこと。
ホイトウ〜牛や馬を使って、水田の土を踏ませて、田をやわらかくすること。
モヤー〜集会や会合のこと。現在でも使われています。

御崎牧の神 西俣牧の神
御崎牧の神(馬頭観音) 西俣牧の神
【撮影場所】西之表市国上喜志鹿崎
【アクセス】県道581号線経由で約35分
【撮影日】2006年7月9日
【説明】小さな鳥居は、牧の神を祀る馬頭観音です。ご神体は四角柱の石に馬頭神を刻んだものです。海岸に近い場所にあり、海岸を少々歩かなければこの地に来ることができません。昔、この周辺は殿様の御牧があったところです。なお、現在は、ここの牧の神は、浦田海水浴場の丘に移設されています。ご注意ください。
【撮影場所】西之表市現和西俣
【アクセス】県道75号線経由で約15分
【撮影日】2008年1月31日
【説明】西俣橋北側の山の頂上付近にある牧の神です。地元では、馬頭観音と呼んでいます。この地の詳しいことは分かっていません。境内から西俣の田園風景が展望できます。
近政牧の神(馬頭観世音菩薩) 住吉牧の神
近政牧の神(馬頭観世音菩薩) 住吉牧の神
【撮影場所】西之表市現和近政
【アクセス】県道75号線経由で約10分
【撮影日】2008年1月19日
【説明】近政の氏神である正八幡神社の裏側にある馬頭観音です。「妙法馬頭観世音菩薩」と書かれています。
【撮影場所】西之表市住吉里之町
【アクセス】国道58号線経由で約15分
【撮影日】2007年9月27日
【説明】住吉里之町の広域農道付近の簡易水道設備の少し上にある牧の神です。地元では「馬」の神様と呼んでいます。神社の入口に「頌徳碑」が建立されています。このホームページで紹介しています。その記念碑の碑文を読むと、牧の概念が分かってきます。
安納馬頭観音 湊の牧の神
安納馬頭観音 湊の牧の神
【撮影場所】西之表市安納下郷
【アクセス】県道75号線経由で約15分
【撮影日】2008年7月13日
【説明】安納下郷の広場の一角にある馬頭観音です。7月13日午後4時30分から祭典を行なったと聞きました。殿様や武士が乗馬した馬を放牧していたのでしょう。馬の神様を祀っています。この日、馬頭観音六月灯も行なっています。
【撮影場所】西之表市国上湊
【アクセス】県道591号線経由で約30分
【撮影日】2023年12月1日
【説明】市道小通山湊線沿いにある牧の神です。塩屋牧で、江戸時代、製塩用の薪を取りその運搬用の馬を買う土地を島主から与えられていました。馬の神様を祀っています。祠周辺には、ソテツを植えて祀っています。
【動画】種子島のふるさと情報:国上湊の牧の神 ソテツを植えて祀る塩屋牧 AIナレーション案内
2014.4.26〜