あいにく天気が悪かったのですが、今年は散策を増やすために、何とか頑張ってみることにしました。風もあり北西方向からやや強く吹いています。当然海も少々荒れています。ところで深川は、中種子町との境界にある集落です。国道58号線沿いは現在道路改善工事が続いています。牧川川に下深川橋が架かっています。ここから西之表市街地に向って散策するのです。西之表市下深川橋から西之表市街地までの約13キロのコースです。下深川橋は、平成18年7月に完成しています。橋は早くから出来上がっていましたが、周辺の道路工事が続いていたので、最近通れるようになっています。その橋の上から海岸を見ると、河口付近でおばあさんが、ミナ取りをしています。手馴れたすばやい動作で石を返したりして、袋の中に入れているのが分かります。そのおばあさん以外に誰もいない海岸です。
少し先へ行くと、道路沿いに小さい田んぼがあります。海岸側の田はまだ田植が終わっていません。しかし、右側の田んぼでは既に田植が終わっており、おばあさんが一人で追植えを行っています。田んぼのあぜ道は小さな石を積んでおり、かなり年数が経過しているようです。それを見ると田んぼも何か哀愁を感じてきます。道端には、カタバミ、ノアサガオ、そしてバショウも少しあります。遠くではカラスの鳴き声も海鳴りに混ざって聞こえてきます。この辺はなだらかな右カーブになっており、それを過ぎると直線道路になっています。
陸側を見ると、ハマヒサカキ、マルバニッケイ、そして新芽を出している山びわなどが自生しています。特に山びわは、種子島でもたくさん海岸付近で自生しており、特に防風林として大事に扱われています。畑や田んぼでたくさん見ることができます。海を見ると、結構潮も引いています。道沿いはミヤコグサ、オニタビラコなどが咲きほこっています。道沿いには、田んぼや畑などがあります。大根、ネギ、フダンソウ、サトウキビなどを少し作っています。周辺を見ると、たまにソテツも生えています。またハマアザミがあちこち群生しています。これから国道沿いでハマアザミの葉取りが多くなってきます。アザミの佃煮にして旬を楽しむ人が多いのです。
直線道路も終わりに近づくと、深川の大石が左側に見えてきます。このホームページで紹介していますので、そちらもご覧ください。その大石があるカーブの深川入口に写真の標柱が立ててあります。その標柱の表側には、「下 浜津脇経野間至約参里半、上 住吉経西之表至約参里半」、そして左側に「深川入口訃町 大正六年一月十五日 深川青年舎」と刻まれています。写真でも分かるとおり、指差しがあります。この標柱で分かるとおり、ちょうど深川入口付近は、西之表と中種子と、ちょうど中間に位置していることです。車窓からはなかなかこの標柱には気づかないですね。歩いて初めて私も分かりました。
深川の大石を過ぎると、バス停があります。すぐ先に深川川に上深川橋が架かっています。その橋の袂に「深川神社」のふるさと歴史散歩の案内板が立っています。そして近くに深川神社の鮮やかな紅色の鳥居が建っています。また、深川神社の秋季大祭では、鹿児島県の無形民俗文化財の「めん踊り」を隅年に一回奉納しています。「深川神社」、「めん踊り」については、このホームページでも紹介しています。そちらもご覧ください。海岸沿いを見るとツルナもたくさん生えていますが、まだ花はつけていません。天気が悪いのか、海には誰一人いません。寂しい海岸です。海鳴りだけが無性に響いてきます。しばらく行くと、左側に人家が見えてきます。周辺は磯遊びや釣り人が多く来る場所です。その国道沿いに「ハタモーリ」のふるさと歴史散歩の案内板があります。この辺の丘をハタモーリと呼ぶらしい。ちょうど緩やかな右カーブになっています。その海岸付近には、ボタンボウフウ、ハマアザミがたくさん生えています。ハマアザミは葉を切り取った跡があり、あちこち残り葉が残っています。ここから少し直線道路になっています。その陸側はハマボウがたくさん自生している場所で、花の時期になるときれいな黄色の花を見ることができます。ハマボウはハイビスカスの原種といわれている樹木です。
志和野入口を過ぎると、緩やかな右カーブになっており、国道も海岸に近くなってきます。季節風の強い時は、道路まで波しぶきが飛散してくる場所です。その場所を少し過ぎると、写真2枚目の場所にやってきます。漣痕(れんこん)がある土手です。漣痕は西之表市の指定文化財になっています。案内板によると、漣痕とは、地層の成層面上に残されているさざなみ状のでこぼこをいい、水の流れ、風、波によって、堆積物の表面につくられたものが、そのまま地層の中に保存されたものだといいます。近づいてみると、関心にでこぼこがたくさんつくられています。
漣痕がある左側に小さな沢があります。晴天が続くと水の流れはよく止まっていることもあります。近くに沢もあったり、海も近いし、季節風も強いところで、漣痕ができる条件が全て整っているかもしれません。漣痕の隣では、快い沢の流れが聞こえてきます。沢の流れは、ここからすぐ先にもあります。周辺には、マルバニッケイ、マサキ、山びわの木がたくさんあり、防風林として田んぼを守っています。既に田んぼは田植は終わっていますが、しばらく、あたりを見渡しながら歩いていると、どこからともなくホトトギスの鳴き声も聞こえてきて春を感じさせてくれます。陸側には、シャリンバイの花が咲いており、きれいな花を楽しませてくれます。右の畑を過ぎると、右カーブになっており、道路の土手の頂上に自然石が建ててあります。頂上付近を「仏峯」というそうです。その案内板が、国道沿いに立ててあります。昔、仏を埋めた場所と言われ、皆で祀っていたと言います。
緩やかなカーブを曲がり終えると、志和野のバス停があり直線になっています。少し行くと、右に住吉神社の鳥居が見えてきます。秋季大祭では、西之表市の指定民俗文化財の「源太郎踊り」を奉納しています。鳥居の左におり、その踊りの案内板があります。鳥居をくぐり、神社への階段の左に記念碑が建っています。「オランダ エンドウ発祥之碑」です。昭和三十三年に集会があり栽培の端緒になっています。現在でも住吉地区は、エンドウの栽培が盛んな地域です。そして、再び国道に戻り、少し行くと、住吉川に澄之江橋が架かっています。この橋を渡り国道を行かないで形之山を通り、再び国道に出ることにしました。
澄之江橋の河口沿いには、種子島でもここ住吉しか見れない植物があります。それは、「クレロデンドルムアクレアトゥム」です。6月〜7月にかけておしべが長く白い花を咲かせてきます。大変貴重な植物です。現在、住吉漁港に向って散策しています。少し腹が減ってきたので、近くのお店で「よもぎ大福」と「きなこ大福」の二つを買って漁港近くの涼み台で休憩することにしました。買った餅は全て種子島で作られたものです。柔らかいので大変食べやすく、近くのガジュマルなどを見ながらの一服です。岸壁の近くでは、漁師さん親子が網の手入れをしています。この周辺は、ガジュマルの大木があり防潮林として植えられている場所です。西之表市の記念物にも指定されています。しかし、平成16〜17年の相つぐ台風の襲来で、丈夫のはずのガジュマルが全て痛んでしまい、なかなか葉が着かない状態になっていました。現在は、葉も出て回復状況になっています。しかし、完全に枯れたガジュマルもあるようです。住吉のガジュマルは、中之町と浜之町で見ることができます。よく注意してみるとガジュマルの根元には、山びわも生えています。そして、中之町の道路沿いのガジュマル付近に案内板があります。
住吉の灯台に向って現在散策しています。ガジュマルから少し離れると、浜之町橋が架かっています。川は浜之町川で、「ふるさとの川」で紹介しています。浜之町橋は、昭和47年3月に完成しています。その橋を過ぎると、左に案内板があります。そこは三叉路になっており、左へ行くと浜之町海浜公園に通じています。その途中に本門法華宗本成寺があります。庭には、招魂碑やどが建ててあります。中には西南の役で戦死した名前を刻んだ碑もあります。種子島からも相当数、西郷さんと戦ったのが分かります。本成寺を後にして先へ散策して行きます。この周辺からなだらかな上り坂になってきます。その途中に「オクノカワ」、「吹上のガラン」の案内板が立っています。「オクノカワ」は、井戸の名前で、昔、浜之町一帯の人が使っていたといいます。そして、その前の道は神様が通った道だと言います。この付近は、ガロー山で、神聖視している森だったといいます。ここを過ぎて、次の三叉路を右へ行きます。まだ、上り坂になっています。周辺の道沿いは、山びわ、トベラ、マサキなどが生えています。そして、このまま真直ぐ行けば、住吉中学校の前に出るのですが・・・、十字交差点を左へ行くことにします。
海岸に近い畑の道を散策していきますが、小さい畑がいくつもあります。田舎でのんびりした雰囲気が何ともいい感じです。なかには、植えたサトウキビの追肥や草取りをしている姿もあります。何だかんだと言いながら、朝に比べたら、天気も少しはいいくらいです。もう、雨の心配はなさそうです。畑の土手沿いは、ルリハコベが群れて咲いています。そのまま行くと竹林もあります。その中を見ると、天然のビローがたくさん自生しています。住吉では、ビローの自生が多い地域かもしれません。ビローの自生は、ここだけでなく住吉神社周辺でも見ることができます。やはり、貴重な植物が残っています。T字交差点を左へ行くと、やがて、左に形之山神社入口があり、古ぼけた案内板があります。この神社は種子島で唯一の安産の神社で、このホームページで紹介しています。形之山神社は、海岸近くにあります。ここを過ぎると、種子島焼の窯元の看板が道沿いに立ててあります。形之山には「葉山窯」と「河内窯」の二つがあります。何れも海岸近くです。その前を過ぎると国道58号線に出てきます。
そのまま西之表市街地へ向って散策していくと、下能野漁港が左にあります。そして、周辺は三叉路になっており、真直ぐ行かないで、旧国道58号線を散策していくことにします。しばらく行くと、右に下能野神社があります。神社境内には、記念碑や謝恩碑などが建てられています。そして、この神社自慢のガジュマルも久しぶりに見ることができました。神社を過ぎると、すぐ左に上能野漁港があります。また、旧国道から上漁港前の道を通ることにします。
漁港前には、坂下先生の大きな記念碑がすぐ目に入ります。この記念碑は「種子島の記念碑」で紹介しています。そして、神社の山手の先には、能野焼窯跡があり、西之表市の文化財に指定されています。また、このホームページで「種子島の名物」で紹介しています。そちらもご覧ください。漁港の前の道路をそのまま行き住宅街を過ぎると、やがて左に砂浜が見えてきます。また、海岸を見ると、もう青のりは少なくなっています。すぐ先は、よきの海水浴場です。しばらくすると国道58号線に合流するのです。
3月18日、第20回種子島ロケットマラソン大会が行われ、そのフルマラソンの出発点が、ここよきの海水浴場前なのです。周辺には、キョウチクトウ、トベラ、シャリンバイ、山びわなどが道路沿いにあります。なかには、トベラ、シャリンバイは早くも花をつけています。国道沿いで特にこの周辺は、キョウチクトウがあり、時期になるとピンクのきれいな花を咲かせドライバーを楽しませてくれています。この前は、直線道路になっており、やがて、右に緑の回廊種子島ラインの看板が見えてきます。その先は公園になっています。公園のすぐ先の国道に下二ツ川橋が架かっています。数年前の西之表豪雨の時にこの橋は大きな被害を受けた橋で、しばらく通行することができなくなったことがあります。この橋のすぐ先に高松のバス停があり、海岸の沖でサーフィンなどを楽しむ場所になっています。そしてバス停を過ぎると、上二ツ橋が架かっています。左側には、砂防フェンスも設置されており、季節風で海岸から砂が吹き込んで積もるところです。ここから、下石寺神社前まで、海岸のすぐ近くを通ることになります。季節風をモロに受ける場所で、道路沿いのビロー、シャリンバイなどは元気をなくしています。
国道も直線道路を過ぎて左カーブを曲がりきると、右に無人販売所や野菜、花などを販売しているところがあります。日曜日なので大勢の人でにぎわっています。そこを過ぎると、右に下西農免道路があります。その周辺に「日本甘藷栽培初地之碑」や下石寺神社鳥居があります。記念碑の右には、記念碑の案内板や大瀬休左衛門の墓地案内板があります。石寺海岸は砂鉄が非常に多く含まれている海岸です。潮もだいぶ引いているので、大小の石が見えており、大変きれいな風景です。また潮のにおいが何ともいえないですね。
海岸では親子3人で磯遊びをしています。しばらく行くと、下石寺入口のバス停があります。そこを過ぎると、上石寺川に石寺歩道橋があります。この周辺も西之表豪雨で大きな被害を受けた場所です。ここからしばらく上り坂になっています。上り坂の途中に、写真の場所が見えてきます。「カゲの道」の案内板です。案内板によれば、昔、女は生理のときは、この道の奥にあった小屋に行き、生理が終わってから家に帰っていたといいます。右には、ホームセンターがあり、ここを過ぎると、上り坂も終わりです。しばらく平坦が続いていきます。途中、石寺のバス停や右には印刷会社もあります。やがて、直線も終わり急な右カーブを曲がると、左に自動車教習所があります。ここの教習所は、昔、武田鉄也も自動車免許を取ったところで有名です。
教習所を過ぎると、国道沿いには、お店も多くなってきます。また、左に種子島警察署もあります。この付近から、国道も下り坂になってきます。警察署を過ぎ、右カーブを曲がり少し行くと、信号機がある斜め十字交差点があります。その交差点から国の出先機関の種子島合同庁舎が見えています。ここから国道も下り坂で、途中、取り締まりも多い場所で、特にスピードには注意する必要があります。下り終わると、もうすぐ散策も終わりです。右カーブを曲がると、JAの整備工場やスタンドが左にあります。その先に交差点があり、左は塰泊へ通じています。左は共同墓地になっており、そこを過ぎると日典寺です。あまり良い天気ではなかったのですが、無事散策も終わりになってきました。
※散策日:平成19年4月1日/9:46〜14:25/曇
「深川」下深川橋をスタート
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「深川入口」←写真1枚目
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「里之町志和野」
↓←写真2枚目
住吉神社前を左へ
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「中之町」住吉
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「浜之町」住吉
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「形之山」住吉
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「下能野」住吉
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下能野漁港前を左へ(旧国道)
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上能野漁港前を左へ
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「上能野」住吉
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よきの海水浴場前(国道へ)
↓←写真3枚目
「下石寺」下西
↓←写真4枚目
「上石寺」下西
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「塰泊」下西
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終点「川迎」下西日典寺前