現和西俣地域に伝わる郷土芸能「ヤートセー〜甚兵衛口説」です。甚兵衛口説は、出端、本踊り、引端から構成されています。しかしながら、常に前進で踊っていますので、踊りは継ぎ目なく行われていきます。太鼓や鉦、踊り手の衣装も通常のヤートセーと同じです。
踊り手の先頭は、太鼓二人、小太鼓二人、そして鉦二人で、黒地の着物を着て頭に白いハチマキをして、色鮮やかなたすきがけ、そして黒の足袋を履いています。一方浴衣を着た踊り手は、頭に白いハチマキ、そして鮮やかな色のたすきがけで白足袋にワラジを履いています。
入場は、道路側から二列縦隊で、ハナ引きの歌にあわせて、時折、掛け声を出しながらゆっくり、扇子を持ち踊ってきます。踊りが進むにつれて、隊形は円形になり掛け声も随所に出てきて盛り上がっていきます。
写真は、甚兵衛口説の本踊りです。左ひじを垂直に立て、そのとき右手は水平に左ひじ下に添え、また、少し後ろにそり返すように右足を斜め左方向に伸ばす仕草です。二重円の隊形で反時計方向に手踊りを披露していきます。
甚兵衛口説きは、踊りに派手さはありませんが、静かで優雅な踊りです。男女混成になっており、ひときわ艶やかさが満ち溢れています。時には哀愁も感じられ、その優雅さに引き込まれてしまいます。
甚兵衛口説の出端です。一見して、引端の踊りに良く似ていますが、扇子を片手で持つところが引端と違う部分です。 | |
甚兵衛口説の鳴り物です。先頭は、太鼓、入鼓、鉦の順になっています。もちろん、踊りの先頭になります。 | |
甚兵衛口説の引端です。扇子を両手に持って、外、内を向き、軽く両足を曲げる仕草で前進を行い、踊りが終了します。 |