種子島開発総合センターでは、平成23年9月からわかりやすい考古学講座「掘ったぞ 種子島」と題して、月に1回開設しています。これは、考古学や種子島の歴史に興味と関心を持っていただくための事業で、全6回の講座を開催しています。
その内容は、種子島の各地で、発掘調査を行った遺跡を紹介するものです。発掘調査したものを直接見たり、スライド等で解説し、わかりやすく遺跡の説明を行っています。
平成24年1月14日(土)、2階会議室において、中種子町教育委員会山元講師を迎えて、「第5回立切遺跡、大津保畑遺跡」の講座が行われ、スライドを使っての分かりやすく、丁寧な講義をしてくれました。
中種子町の主な史跡
@三角山遺跡(現在の種子島空港周辺)〜縄文時代草創期の大規模な住居跡のほか、道具や石器などが出土し、鹿児島県の文化財に指定され、中種子町に物はないとのこと。
A園田遺跡(星原・坂元地区)〜縄文時代の石槍が出土。手の込んだ加工がされた綺麗な槍だった。それをわざと割って埋めていた。何故、割ったかや埋めたかは分かっていません。何か、お祭りで使用したか。
B鳥ノ峯遺跡(増田・向井町地区)〜弥生時代の埋葬遺跡。広田遺跡と同じようなもの。
C立切遺跡、大津保畑遺跡ほか2遺跡〜国内最古の落とし穴が発見された。
中種子町教育委員会山元講師です。出土した遺跡を分かりやすく説明しています。
立切遺跡、大津保畑遺跡、小園遺跡、今平・清水遺跡の位置関係を示した写真です。いずれも農業の盛んな地域にある遺跡です。
立切遺跡は、縄文時代後期のもので、石で作った礫群、石組みのあとがあったことや落とし穴などが出土し、マスコミでも話題になった経緯があります。単純に移動したわけではなく、キャンプみたいなことをやりながら生活をしていたことが分かってきています。
大津保畑遺跡は、落とし穴が12基出てきています。これまでの日本最古の落とし穴は、静岡県の富士山の尾根に一列に並んだ2万8千年前の落とし穴でしたが、それをはるかに超える3万5千年前の落とし穴が出土しています。
立切遺跡で出土した土坑(人偽的な穴)です。何のために、何だったかは不明だったが、最近の研究では落とし穴ではと言われています。
立切遺跡の礫群です。横峯遺跡でも出土していました。肉などを葉っぱに乗せて蒸し焼きにしていたことが分かっています。
大津保畑遺跡の落とし穴です。動物を捕らえるために作られた落とし穴です。作られた落とし穴が、ほぼ一定方向になっており、獣道に作っていたと考えられています。
落とし穴は、ラッパ状で、フラスコ形をしています。その落とし穴の上は「種W(火山灰層)」であったため3万年5千年前のものと分かっています。
小園遺跡の礫群です。礫群4基と焼土跡2基が出土しています。3万5千年前のものです。
地面に穴を浅く掘って石を並べて調理したと考えられます。使った石を詳しく調査したところ、他の礫群の石とぴったりくっつくものがありました。これは、リサイクルされた可能性が考えられています。
たたき石です。たたき石は、食物の加工や道具の製作するための「たたき道具」として使っていたものです。平坦な面や両端にたたいた跡が確認できています。
ヤス状の石器です。形が魚を突く「ヤス」に似ているためこう呼んでいます。使用目的は分かっていません。鋭いヤリでしたよ。
園田遺跡の出土品です。石器の刃物みたいなものです。中央付近は、やや盛り上がっており、よく切れるように考えていたんですね。
参加者は、石器も手にとって、身近に感じ取っていました。私たちの先祖は、大昔、こんなもので、生活していたんだと思うと、その知恵に感心してしまいます。人間って、いつの時代も素晴らしい知恵があったんだと。
ところで、講座は無料で、市内に在住、または通勤、通学している方ならだれでも参加できます。なお、定員は30名程度で、先着順となっています。
詳しいことは、種子島開発総合センター(鉄砲館)(0997-23-3215)にお問い合わせてください。