種子島開発総合センターでは、平成23年9月からわかりやすい考古学講座「掘ったぞ 種子島」と題して、月に1回開設しています。これは、考古学や種子島の歴史に興味と関心を持っていただくための事業で、全6回の講座を開催しています。
その内容は、種子島の各地で、発掘調査を行った遺跡を紹介するものです。発掘調査したものを直接見たり、スライド等で解説し、わかりやすく遺跡の説明を行っています。
平成24年2月18日(土)、2階会議室において、種子島開発総合センター沖田講師を迎えて、「最終回三本松遺跡」の講座が行われ、スライドを使っての分かりやすく、丁寧な講義をしてくれました。
三本松遺跡とは、西之表市安城川脇の県道75号線改築事業にて、発掘された縄文時代早期の遺跡です。
遺跡の特徴は、アカホヤ火山灰層下より、石器製作場が検出され、多数の土器類が出土しています。その中で、種子島にはない大分姫島産の黒曜石チップ類が多数出土したことから、石材を持ち込み石器を製作していたことがうかがえます。
そのほか、ベージュ色ローム土下層から、多数の吉田式土器片が出土し、その中に、世界最古のコクゾウムシの痕跡が発見されています。
出土した土器を手にして説明しているところです。講座生は、熱心に聞き入っています。
その発掘調査の模様です。
写真三枚目は、U字型の配石です。どのような目的で並べられたかは分かっていません。
石器の四つが重ね合わさった状態のものが出土し、忘れてしまったものなのか、人間らしさのものを感じさせたということでした。
三本松遺跡は、同じところから時代の異なる二つの遺跡が出土しています。写真五枚目で、前方は約7300年前の遺跡、手前は、約1万年前の遺跡です。
約7300年前の出土した土器です。
約1万年前の出土した土器です。
四角状の土器も出土されています。土器のバリエーションが多岐にわたっているのも大きな特徴です。
矢じりの出土品です。大分姫島産の黒曜石で作られて矢じりが出土しています。
現地説明会での模様です。縄文人のスタイルを考えたものです。おそらく、色は派手なものだったに違いないとか。
約1万年前の土器から見つかったコクゾウムシです。これまで見つかった中で、世界最古のものです。それまでは、4、5千年のものだけしか見つかっていませんでした。
そのCTスキャン画像が写真十二枚目です。熊本大学で、詳細な調査を行ったものです。
遺跡から見つかった石片です。種子島にはない、大分姫島産の黒曜石の石片です。この頃には、他の地域との交易などがあったのでしょうか。どのようにして持ち込まれたのかは分かっていません。
石器です。手に持ってみましたが、きれいに加工されていました。先端部は、刃のように鋭角に加工していました。我々の先祖は、素晴らしかったんですね。人間って、いつの時代も素晴らしい知恵があったんだと思うことでした。
三本松の遺跡では、コクゾウムシの痕跡が七点見つかっています。これまで、熊本で21点、鹿児島で6点、長崎で6点、福岡で2点、山梨で2点など合計で37点です。今回の三本松では、種子島だけで7点です。写真十五枚目は、コクゾウムシの痕跡が見つかった土器片です。
今回の講座で、最終回でしたので、参加者には修了証書を手渡してくれました。
三本松遺跡の詳しいことは、種子島開発総合センター(鉄砲館)(0997-23-3215)にお問い合わせてください。