福祭文くさいもん

正月の神に代わって、門口から福祭文を唄う正月行事

AIボイスで読み上げてくれます。

福祭文
【撮影場所】
鹿児島県熊毛郡南種子町西之中西目(小田・前之原)地域内
【撮影日時】
2023年(令和5年)1月7日(土)/17時52分〜18時53分
【行事場所】
南種子町西之中西目地域
【行事時期】
毎年一月七日、午後六時より
【アクセス方法】
南種子市街地から町道を下ること約15分で中西目地域です。

【行事の説明】

南種子町西之中西目地域に正月行事として伝承されている「福祭文」です。毎年一月七日の午後六時から行なわれています。中西目青壮年及び子ども会で行います。

福祭文は、種子島の各地域で実施されている正月行事です。正月の神に代わって、各家や神社、公民館を訪れ門口から福祭文を合唱して、その家の幸福と繁栄を祈って祝います。そして、合唱が終わると、祝いもちを頂いて帰るのです。最近は、祝いもちの代わりにお菓子や、果物、ご祝儀などを頂くことが多くなっています。なお、前年に不幸のあった家とか、しめ縄が飾っていない家には巡回しません。中西目地域では、巡回する前に公民館に集合します。全員で、神社、エビス、公民館、民家を回ります。

ところで、福祭文を読み上げるのは、簡単なようで、なかなか難しいものです。微妙な節回しが必要です。福祭文ですが、門松付近に来ると、メンバーの一人が、玄関の扉を開けて「いつもの年頭の御祝儀申し上げ申す」と言って、福祭文を唄います。この日、不幸も重なり、1戸の民家を巡回しました。民家での福祭文が終われば、すべて終了します。

年頭の言葉を言う 民家の玄関に来て、ドアを少し開けて、「年頭のご祝儀申し上げ申す」という祝儀をいいます。そして、唄うことを告げて福祭文が始まります。
福祭文を唄う 福祭文の歌詞を見ながら歌います。覚えるのがとても大変です。なお、西野小学校の児童は、学校でも中西目の福祭文を歌っていますが、実際の現地の歌い方とは、ちょっと違うらしいですね。
福祭文の終わったことを告げる 唄い終わると、玄関に来て、「年頭のご祝儀申し上げ申した」と言って、玄関を閉めます。
祝い餅などを頂く 福祭文が終わると、家主から祝い餅をいただきます。お餅のほかに、お菓子や、御祝儀をいただくこともあります。
中西目神社での福祭文 福祭文の最初は、公民館隣の中西目神社です。午後6時前のはじまりとなりました。
エビスでの福祭文 福祭文の二か所目は、エビスです。その途中の道中で行います。これからエビスまでは距離があります。海の方を向いて唄います。
公民館での福祭文 福祭文の三か所目は、公民館です。中には、公民館長が、正座して、静かに福祭文を聞いています。終わると、焼酎などが振舞われます。
公民館でのナオライ 福祭文がすべて終わると、公民館でナオライです。大人は、鍋を囲み、ビールや焼酎で、福祭文などを語らいます。今回、公民館長さんをはじめ、皆さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。

中西目地域の福祭文の歌詞は次のとおりです。

 福祭文

    年頭のご祝儀申し上げ申す
そうらいや候よ、
祝う 福祭文じゃ候よ、      祝う 何時よりも今年は。
祝う 門の松が栄えた、      祝う 栄えたも道理よ。
祝う これの門の松には、    祝う 銭花がつぼうだ。
祝う 黄金花が開いた、      祝う 開いたも道理よ。
祝う これの殿の御家に、    祝う 祝うものは何なに。
祝う 銭と米を祝うよ、       祝う 祝うも道理よ。
祝う 四方の角ずみに、泉酒がたたえた。
祝う たたえたも道理よ。
祝う 白金のまげ桶に黄金の茶び杓で、
              汲みたとえて そう候よ
祝う それにこそや候よ
祝う 東三畳四畳には 白金の山を立て
祝う 西三畳四畳には 黄金の森を築き
祝う 富貴万福徳あるとは みょうがに叶わせ給よ
祝う 良き豊年の年ならば鳶鷹らが飛び来て
祝う 鶴と亀が舞い来る。     祝う 祝い込めてそう候よ
祝う 町のお祝いお込めやれ
    年頭のご祝儀申し上げ申した

2023.1.8〜